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異界の王女と人狼の騎士
第七十二話
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こうとしたとき、奴が声に反応して振り返った。

 顔は何故か黒い霧のせいで歪んで見えるが、その霧の奥に見える顔を見間違えるはずがなかった。
 血でべったりとぬれた髪、無精ひげ、顔にもこびりついた血のあと。何を見てきたのだろう、その落ちくぼんだ眼窩。

 俺は現実から逃避できないことを悔やんだ。


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