第六十九話
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の言うことに対して、不満を持っているのは分かったけど無視した。
そんなの関係ないよ。
強がってるけど、王女はかなりのダメージを受けている。俺と彼女の心が繋がっているってことを抜きにしたってそんなの分かるんだ。当たり前だよね。
王女は無理をしている。俺が思っている以上に。そしてこれからも今以上に無理をし続けるつもりに違いない。
それだけだ。
放っておいたら早晩破綻するしかない。もちろん彼女だってそんなことくらい分かっているはず。でも、続けざるをえない。
生き残るために、生き抜くために。戦いに勝利するために。
無理をし続けることを止められるのは、俺しかいないんだ。まがりなりにも彼女と契約して主従の関係を結び、それなりの力を手に入れているんだ。少しは王女の力になれるんだから。
そして、この世界でマリオンという名の異世界のお姫様が頼ることができるのは俺しかいないんだ。
だったら、俺が止めるしかないじゃん。俺が守るしかないんだ。
「わかった。……すまない、シュウ」
弱々しい声だけど、王女が従ってくれた。
「大きな通りに出たら、タクシーも拾えると思うよ。だから少し我慢して」
そう言うと、俺は歩き出した。
公園の出口では警官とすれ違ったが、彼らには俺が見えていないらしい。
全くの無反応で俺が通り過ぎてもずっと動かなかった。
本当は直ぐにでもタクシーを呼んであげたかった。早く部屋に帰って横にさせてやらないと。
でも、殺人事件のあった公園にタクシーをよこせっていっても誰も来てくれる訳がない。ただでさえ連続殺人事件ということで夜間は外出が自粛ムードなんだ。そんな時に人気の無い公園に配車をする会社なんてないだろうし、来てくれる運転手なんているわけないよな。
だから、もう少し大きな通り、それか繁華街とかに行かないと無理なんだろう。
「ここから川を渡ったところに大きなショッピングセンターがあるんだ。まあこんな時間だからもう閉まっているけど、周りにはファミレスとかレンタル屋とかモンキーホーテがあるから、人の出入りも結構あるんだ。そこまで行ったらタクシーも拾えるんだ。だから少し我慢してくれ」
「私なら大丈夫よ。心配しないで……」
耳元で弱々しく話す王女。
「分かった。俺の背中じゃ寝心地悪いだろうけど、少し休んでたらいいよ」
「うん」
そう言って王女は俺の肩に小さな頭を乗せると、目を閉じた。
普段はえらそうなのに、妙にしおらしい態度をされると思わず照れてしまう。絶対的な信頼を得ているようで、なんだか誇らしく思ったり。このへんが王女たる所以なんだろうな。
ほのかに、なんだかよく分からないけれど、すごくいい香りが漂ってきた。
くんくんと
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