第六十九話
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犯人の思念を捉え、そこに残された全てを調べつくそうとしている間に、その残留思念に仕掛けられた本体が逆に私の心の中へと侵入しようとしてたのよ」
「そんなのってあり得るの? 」
「調子に乗りすぎてて気付くのが遅かったけど、とりあえずは大丈夫だったってところね。あのまま気付かずに続けていたら犯人の思念が私の心の中に入り込んでいたでしょうね」
「入り込まれたらどうなるんだ? 」
「心を乗っ取るとかそういったことは出来ない。でも、それはウィルスのように私の心を浸食し、少しずつでも影響を与えていくんでしょうね。もちろん私が何を考え何をしているかは、犯人に筒抜けになっているでしょうし。もしかしたら記憶を書き換えたり、自我をも変更していったのかもしれないわね。試してみても良かったけど、気持ち悪いしね」
少し面白そうに言う。
「よくわからないけど、トロイの木馬みたいなものを現場に残していったってことか。俺たちがここに来るだろうって見越して? 」
そうならばかなりやばくない??
「寄生根ごときが小癪な真似をってところかしら。でも所詮はミミズ以下の生命でしかない。単細胞と行かないまでもたかが知れているってことよ。
ふふん、逆に闘志に火が点いたわ。私を乗っ取ろうなんて身の程をわきまえぬ愚か者には正義の鉄槌を下さないと気が済まないわ。シュウ、分かっているわね」
「うん、もちろん。あんなのをのさばらせていたら大変な事になる。一刻も早く潰さないとね。うん、潰してみせるよ」
「いい感じね、じゃあ行くわよ」
そう言って立ち上がった王女。
俺も後を追おうとするが、直ぐに立ち止まった。
王女は少し歩いたところで突然よろめき、地面に倒れ込んでいったからだ。
俺は体を加速させ、すんでのところで彼女を受け止めた。
「姫、大丈夫か? 」
王女は虚ろな目で俺を見返す。
「うう、軽くやっつけたつもりだったけど、そうは行かなかったみたいね」
「一体……」
「心に食い込んで根を張った思念を無理矢理に引きはがそうとしたら、当然、無事では済まない、……わけね。……そんなところね」
と、力なく呟く。
さっきまでは何とか空元気を出していただけだったんだ。
寄生根との見えない戦いは、俺が思っていた以上に過酷で、王女にかなりの深手を負わせていたっていことなんだ。
「大丈夫か? 今日はもう無理だな。家に帰ろう」
そう言って、俺は王女を背負った。
「いや、まだ夜はこれから。寄生根の活動も夜になるに違いない。……こんな時に休んでられない。また被害者が出ることになるわ」
「誰かが犠牲になるのはなんとしても止めたいけど、今は姫の体の方が大事だよ。とにかく帰って休むんだ」
王女が俺
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