第3章 リーザス陥落
第76話 ホッホ峡の決戦X
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『良いか? 決して無理はするな。……今回の戦い。奴らも恐らくは慢心は殆どない。数が多いから、全員とはいかんが、人類最強の男が率いる部隊だ。それくらいは覚悟しておけよ』
耳元で、彼の声が聞こえてきた気がした。
『……何よりも、魔人と遭遇した時、だ。引け。……引いて、勝機を見い出すんだ。力こそ、理不尽極まりないあいつらの技能。だが、頭はそうはいかん。最大限に考えて、行動をするんだ。……奴らに対抗出来る手段は、今はカオス以外に無い。……無理は決してするな』
その声が、頭の中にまで響いてくる。
この戦いに入る前に、言われた事。……隠密で動くが故に、遭遇の可能性が高いと判断したのだろう。……だが、それだけじゃない。
『かなみは、あの時の事を気に病んでいると思ったから、な。……オレも無事だった。気にする必要はない。ただ、それでも と言うのなら さっきの話は心に残しておいて欲しい』
そう言っていた。
その時 かなみは、頷いたんだ。……そして、メナドも 後半の部分は メナドはいなかったから、詳しく理解こそは出来なかったが、大体の意味合いは判った。かなみは長くユーリと戦ってきたのだから。
「「っっ!!」」
飛びかかりかねなかった状況で、寸前でかなみは思いとどまる事が出来た。それは、メナドも同じ。メナドとかなみ、互いに手を握っていたのだ。お互いに引き止めようとせんかの様に……。
「うっ……、く、っ……! はぁ……はぁ……」
「っ……ぁ…………」
何もしていないのに、思考の渦に身を投じていただけなのに、体力をごっそりと削られたかの様に、膝をついて砂地に脂汗を落としていた。
「かなみ、ちゃん……、大丈夫……?」
「ん……、へい、き。ありがと。……メナド、は?」
「僕も、大丈夫、だよ……。ユーリの言葉が、無かったら……危なかったかも、だけど」
「あ、ははは…… 私も、同じだよ。強く ユーリさんに引き止められた気がした、から……」
かなみも笑って同意をしていた。
今攻める事が最善では有り得ない。機動性を重視したのはこちらの部隊も同じであり、決して正面衝突出来る戦力ではないのだから。……ましてや 相手は魔人。最悪最強の相手なのだから。
「いこ。まだ、やれることがあるから、全部やらなくちゃ」
「そうだね。うん!」
そのまま、陣地を確保しながらも、再びかなみとメナドは暗所を伝って移動を始めた。
〜後方高台・ジオの街 側〜
その場所では、3つの影が残っていた。
アイゼルが去り、そしてトパーズのみだと思われていた場所に、更に2つの影が現れたのだ。が、その影は膝をついて
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