2部分:第二章
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第二章
俺は壁から背を離した。それでこいつに背中を向けて。はっきりと言ってやった。
「たまには彼女と楽しく過ごせよ」
「御前・・・・・・」
「じゃあな。また明日な」
最後にこう告げて俺は一人でそのタイマンの場所に向かった。
タイマンの場所は波止場だ。夜の波止場に十時、如何にも仕込んであるといった感じの場所と時間だと思っていた。けれどそれでもだった。
俺はそこに向かった。懐の中の警棒の感触を感じながら。そのうえで波止場に向かった。
けれどここでだった。その俺の横に。
来た。来やがった。そいつは俺ににやりと笑ってこう言ってきた。
「じゃあ行くか」
「何で来たんだ?」
「ああ、どうしても思ってな」
それでだと。俺に言ってきた。また。
「御前が気になってな」
「あの娘のことはどうするんだ?」
「終わってから行くさ」
素っ気無くだ。俺にこうも言ってきやがった。
「それからな」
「何時終わるかわからねえぜ」
「すぐに終わらせたらいいだろ」
「相手が何人いてもかよ」
「大丈夫さ。御前がいてな」
俺に顔を向けて。それからだった。
顔を正面にも向けて。こいつは言った。
「俺がいるんだ。すぐに終わるか」
「わかったぜ。じゃあすぐにな」
「終わらせるんだな」
「それからだ。絶対に行けよ」
「わかってるさ。喧嘩に勝ってからな」
「行けよ」
馬鹿な奴だ、と内心思いながらもだ。俺は二人で波止場に向かった。俺達がそこに来ると案の定だ。周りから何人か出て来た。そしてそれからだ。
俺にタイマンを言ってきたその隣の高校の馬鹿がガムをくちゃくちゃさせながら出て来てだ。俺達にこう言ってきた。
「二人かよ」
「そういう手前は何人だよ」
「さてな。まあ一人でも二人でもいいさ」
馬鹿は数を頼みにしていた。それ故にだ。
余裕そのものの顔で俺達に言ってきて。その右手の鉄パイプを前に突き出してだ。俺達にこうも言ってきた。
「それじゃあ。叩きのめしてやるぜ」
「叩きのめされるのはそっちだぜ。じゃあな」
「ああ」
俺は隣にいるそいつに顔を向けて声をかけた。それを受けて。
そいつも頷いた。にやりと笑って。それからだった。
俺達は喧嘩をはじめた。夜の波止場で。
喧嘩は思ったよりも長引いた。俺達にとっては。
その次の日。学校の屋上でだ。
俺は屋上の隅にある机と椅子に座って漫画雑誌を読みながら。今来たそいつに尋ねた。
「あれからどうなったんだよ」
「遅いって怒られたぜ」
短ランにボンタン、その姿のそいつがだ。長ランにボンタンの俺にいこう言ってきた。顔はお互いにあちこち腫れて身体中が痛い。けれどそれでもだ。
二人でだ。にやりと笑いながら言ってきた。
「何時だと思ってるんだっ
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