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大海原でつかまえて
03.提督と岸田は似ていた
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きつ丸さんは僕らの世界に来た……今回の事件の流れはこんな感じだと説明された。

 ……ん? 設備がすでにあるんなら、いちいち岸田をこっちに連れてこなくても、艦娘のみんなを僕達の世界に連れてくればよかったんじゃない?
 
「冷静になれよシュウ。お前、なんか知らんけどいきなり美少女がたくさんやってきて海の上走ってて大砲撃ったりして化物と戦ってたら、何も知らない人はドン引きだろう」
「そうだ。艦娘たちがいきなりやってきたら街は大パニックだ。ったくこれだからヲタ以外の人種ってのはイヤになるぜ……お前おれの友達だろ……」
「まったくだ。これで比叡の弟っつーんだから笑わせる」
「ホントだぜ」

 ちょっと待て。ぼくは二人にここまで息ぴったりで罵倒されなきゃいけないようなアホなことを言ったのか? ヲタじゃないってそんなに罪深いことなの?

「はいはい! おれも質問があります!!」
「はい。岸田くん」

 岸田が小学生のように勢いよく手を上げ、提督が新任の女教師のようにその岸田を指名する。なんだこの茶番劇は……一心同体だからか?

「元の世界に戻るにはどうすればいいんだよ?」

 確かにこれは問題だ。比叡姉ちゃんもあきつ丸さんも、絶妙のタイミングで元の世界に戻った。何か元の世界に戻る条件でもあるのか……

「詳しいことはまだ分からん。ただ、深海棲艦の設備に残っていた資料を解析した結果、“目的達成で、自動的に戻る”ように設計されているとのことだ」

 続けて提督が詳しい話をしてくれたのだが、要約すると、本人にとっての“渡航する目的”を達した時に、自動的に元の世界に戻る仕組みなようだ。どういう技術なのかはよくわからないが、あきつ丸さんが僕達を確保した途端に戻って来れたことから考えると、あながち的外れな話ではないらしい。

 姉ちゃんの場合、本人は『シュウくんを守るため』と言ってくれていたが、実際には『レ級を倒すため』だったのだろう……というのが提督の見解だ。その方が確かに筋は通る。レ級ともみくちゃになっていた姉ちゃんは、きっとレ級を倒すことで頭がいっぱいだったはずだし、何よりその頃、僕と姉ちゃんは出会ってないのだから。
 
 続けて、僕も質問があった。こっちの世界に来た一番の目的だ。

「僕も質問がある」
「よし来い」
「姉ちゃん……比叡さんの救出はいつなの? なんかみんな、仲間がピンチだってのに、すごく落ち着き払ってるけど」

 そう。僕がこっちの世界に来た一番の目的は、姉ちゃんに会って、助けるためだ。姉ちゃんは今一人でピンチに陥っているが、その割には皆落ち着き払っていて、慌てる素振りが全くない。今もこうして提督からして悠長に会話をしている。それが僕には不可解だった。

「ふむ……確かに最初に伝えてなかったの
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