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婆娑羅絵巻
菫の蕾と桃の花〜下〜

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『どうせわたしは面倒にしかならない』




なんでそう思うか?
鈴彦は長い廊下を歩き、与えられた部屋に向かいながら自問自答する。

_______そんなのカンタンだ、周りの人の目を見ればわかる。
おそらく、わたしを心から心配してくれているのは久脩おじ様ただ1人だろう。

久脩おじ様の周りの人はどんなに口は笑っていても目にはわたしに対して『不気味・こわい・嫉妬』か私の【力】を不思議がったり、ワルイことに利用したりしよう、ぐらいの気持ちしか宿っていない人ばかりだ。


きっとあの人達にはわたしがおんなじ【人】には見えていないんだろう。
だからそういう人達から【神子】とか【神童】ってよく分からない呼び名で呼ばれてるんだ。

それに今回の話だってわたしを利用しようとする人達がわたしを養子に出すことに賛成してる。

___わたしが【魔王の娘】にならなくてはきっとたくさんの人達に迷惑が掛かる、そのぐらいはわたしが幾ら幼くても痛い程わかる。


久脩おじ様がどんなに心配してくれても、『家中で一番偉い』というだけでは大勢の人達の意見にはかなわない。

____『寧ろこれはわたしにとって嬉しい事なんだ。新しい家族が出来るんだ。【普通の子】みたいにとー様や、かー様って呼べる人ができる、もしかしたら兄弟もできるかもしれない。』

そう考えて不安な気持ちを紛らわせることにした。







____きっと大丈夫、すぐに新しい家族と仲良くなれる、今はそう考えよう。


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