第3章 リーザス陥落
第75話 ホッホ峡の決戦W
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その通りだ! そして、こっからがサプライズ開始だぁぁ!!」
ぷっ! とロバートが加えていたタハコを飛ばした。すると、それが地面と接する瞬間――、火種が火薬、そして油に引火し、爆発と共にあたり一面が炎に包まれた。
「こ、これは……。ここまで来る間に油を撒いていたのね。多分、さっきの特攻兵達も」
炎は、ぐるりと4人を包み込み、あまりの勢い故に 少しずつその包囲を狭めていた。
「ふっ、そんなガチガチの軍靴じゃ、気づかなかったろう。オレみたいに裸足になれ、裸足に」
「って、貴方はどうする気よ!? このままじゃ、全員死ぬわよ!?」
「あ…………、そうか、不味いな。そこまでは考えてなかった。まあ、いいさ! ここで、お前らを殺す事が、オレの仕事だ。それ以外を考えるのは余分だ!」
「………狂ってる」
「だが、死を恐れん者は強いぞ。狂人と強靭は紙一重だ。……気を抜くな。それに、炎が厄介だ」
清十郎は周囲を見渡した。轟々と揺らめく炎は 獲物を捕食せん勢いでうねり続けている。
「今のうちに走り抜けましょう。多少の傷は負うでしょうが、まだ、今であれば突破出来そうです。脱出を――」
「――それをさせない為に、オレがいる。お前ら3人、オレ1人。まぁ 逆立ちしたって勝てねぇが、足止めするだけならなんとか出来るぜ? 鬼ちゃんのその馬鹿げた剣も、この炎ん中じゃ、蒸発しちまうんじゃねぇか?」
「ふん。……それなりに、頭を使える様だ。見縊っていたな」
「このっ……!!」
復讐の血刀 《犠血》は 確かに元が血液である以上、高温の炎には弱い。形を保てなくなるのだ。だが、それに頼りきっている訳ではない故に清十郎の表情に曇りは無かった。レイラも、嫌な汗が伝う。1秒でも惜しい状況なのだ。道連れにされる可能性が極めて高いのは事実だった。首を撥ねたとしても、この男は離さない。そんな気配がするのだ。
そんな時だ。
「兄さんっ!!」
この修羅の場、炎に囲まれた文字通り地獄とも言っていい場所に、女の声が響いた。
「な、この馬鹿! どうしてここにいる!?」
「兄さんがポリタンクの中身を間違えるからでしょう!」
「な、なにをいって……」
「兄さんが持ってるのは、いつもの油! 火を防ぐ《ぬるぬる水》はこっち!!」
「what!? ならオレは逃げ出す瞬間に、頭から油をかぶるところだったのか!?」
それは勿論、リーザス側にも聞こえている。
「ただの狂人じゃなかった、か」
「だね……。一応脱出の策は練っていた、って事でしょ。抜け目ない奴」
「ですが、これで互いに決め手が無い以上、どう出るかわかりません。注意しましょう」
そして、ロバートはある事に気づく。
「だが、それの中身は一人分だ! お前はど
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