暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第75話 ホッホ峡の決戦W
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部隊を危険に晒してしまった事への後悔で、頭が割れそうだった時。

「黙ってろ。セピア」

 ロバートがゆっくりと口を開いた。

「奇襲を受けた時に、ピンと来た。……今回の件に、お前が何も言わない状態で、ずっと黙っていた上での奇襲だったら、よもや お前が、と思ったが、……お前はしきりに 心配をしていたな。今回の進行を。……向こうの連中に何をされたのか、大体分ってる」
「分かってた……?」
「ああ。敵情報を盗んだまでは良かったし、信憑性のある密書だった。筆跡の類も一応確認させたしな。……だが、それだけの情報なのに、得たお前が心底怖がっていたんだよ。オレにF○○Kされた時よりもずっとな。それを見て 何かがある、とは睨んでいたが、まさか ここまでとは思ってなかった」
「……っ それでも、進軍させたの……?」
「まぁ、な。それでも 向かった理由は 何が来ようと簡単に折れる程、ヘルマンは脆くないからだ。分かったら黙ってろ。……後悔や懺悔、そんな後ろめたさは、戦場じゃ不協和音しか呼ばねえ」
「………」

 セピアは、それ以上は何も言えなかった。俯いたその頭をロバートのごつい掌が乱暴になでていた。

「中隊長! 用意完了しました!」
「おお、そうか! ―――ッ、はははは! エレガントじゃないな! あーまったく、オレの趣味じゃない! だが、原始的な方法が一番ということもある。あの糞馬鹿野郎どもを黙らせる為にはな! 可愛い顔したあの男がいない分、幾らかマシってもんだしよ!」

 ズラリと大量に並んだランドスター隊、その工作兵達が獲物を構えた。

「おらぁ! お前ら! ケツ掘られたくなきゃ、ケツに力を入れろ! しっかり、締めとけ! はははは!! 死神と鬼のフルコースだ! 鎌に大棍棒持ってくるぞ! 来るぞ来るぞ来るぞ来るぞぉぉぉぉ!!」

 ロバートの一声により、部隊はさらに力強さを増した。内容は 聞くに耐えないセリフなのだが、その実、力は篭もりやすく、士気も上がるのだ。……誰もが死ぬよりも、中隊長に 掘られる事の方が嫌だから、と言う理由があったりする。

 とにもかくにも、圧倒的な人数差と言う武器を背負って、最後の攻撃、特攻が始まろうとしていた。





 それは、数秒後の事。

「……来た」
「えっ?」

 まず始めに察知したのは、清十郎だった。彼の並外れた五感は この熱気や怒号の渦巻く戦場でも十分過ぎる程発揮している。この辺りだけは、鎧に身を包んでいるリックは劣る部分だ。軽装備の利点でもある。感覚が研ぎ澄まされている。

「は? なに、あれ……」

 レイラも、数秒後に目視した それ(・・)を見て唖然とした。

「ふむ。恐らくはアレが全て。この場に配置された戦力のほぼ全てだろう。こちら側に投
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