第3章 リーザス陥落
第75話 ホッホ峡の決戦W
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「怯むな! 恐るな!! 我らは赤の軍! 戦場を進む一本の槍!」
「得物は使い様だ。……どんなモノでも使い方次第で 幾らでも強い手段となる。身体の力だけではない事を証明しろよ。貴様ら」
リックの赤い魔法剣が振られる度、煌く赤色はリーザスの兵士を鼓舞する。
そして、清十郎の血の刀、槍は 同じく赤色である事から、ヘルマン側にはこれ以上ない威嚇となっていた。如何に攻撃しようとも、血を流させようとも、まるで不死身か? と思わせる程に。
「ひぃぃぃぃぃっ! こ、これが赤い死神!!」
「お、鬼だ! 悪鬼羅刹がきたぁぁぁ!!」
赤い死神と言う名前は、元々その実力の高さから既に轟いているのだが、清十郎は今回が初だ。血を操り、切り刻む悪魔の様な戦い方。そして 戦場を喜々として、駆け巡っているかの様に嗤うその表情。……そこから連想されたのが、《鬼》であり、悪鬼羅刹なのだ。
リックの場合は、仮面で素顔を隠しているからこそ、その表情は見えない。清十郎は 防具等で覆っていないから 鬼と形容した、と言う理由もある。
そして、部隊を率いるロバート・ランドスター中隊長は、その光景を遠くから眺めていた。
「どーーーにも隊の様子が妙だと思えば……あの赤色でようやく判ったぜ……。はっ! こりゃ、大物だ!! 死神に鬼とは 随分と歓迎してくれてるじゃねえの!」
状況は最悪と言えるのに、笑っている。こちらも笑っていた。
「おい、お前、兵を正面に集中させろ! ありったけだ!」
「はっ? ですが、それではほかのところが手薄に……」
「お前もオレの部下なら知ってるだろう! オレのやり方は、一点突破だ! ケツ掘られたくなきゃ動け!」
「は、はいぃっ!!」
ロバートの妙な 恫喝は 兵士達を迅速に動かすのには 適している。本人はマジでやりかねないので、色々と畏怖している為だ。
「さぁ、て どうなるかな……」
「あ、……あ、あいつ……は……」
ロバートの隣にいたセピアが、か細く鳴く様な声で、呟いていた。
「…………」
その様子を、横顔をじっと見るロバート。いつもであれば、戦場で余所見をするな、と言われるだろう。だが、セピアは 震える身体を抑えきれなかった。
――……身に覚えの無い記憶が、その扉が開こうとしていた。
それは、兄を追いかけて、このホッホ峡に来た時の事。気づかぬ内に背後を取られ、圧倒的な実力差で 何もされていないと言うのに 動けないまま 捕まってしまった事。……そして、襲われかけた事と、情報操作をされた事だ。
「そ、そんな……、わ、わたしの、わたしのせいで……」
如何に操作をされていた、とは言え 偽の情報を回したのは自分自身だ。己の不甲斐なさと
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