第3章 リーザス陥落
第75話 ホッホ峡の決戦W
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、戦場を駆ける3本の矢。
束ねれば決して折れず、戦場を射抜かん如きの速度で 切り開いて行く。
「はぁぁぁっ!!」
疾風の剣閃。それがヘルマン兵の頭部を穿った。
「ガ、ギッ!? ぎゃあああああ! め、目がぁぁぁぁ!!」
レイラの細剣は、名の通り刀身が脆くなるギリギリの位置にまで研磨され、細く仕上げられている。それは、切り裂くのではなく、一点を穿つ刃だ。如何に鎧で守られたとは言え、僅かな隙間を狙い、ヘルマン兵の身体を穿ったのだ。
それは、卓越した早さ、そして技術があればこその攻撃だ。
「ちょ、調子に乗るな!! 小娘ェェ!!」
だが、それを力で押し返す底力がヘルマンの兵士にはあった。如何に人体の急所の1つである眼球を狙われた、穿かれたとは言え、片方の視力が失うだけであり、脳には達していない。生きている限りは反撃が出来るのだ。
「きゃあっ!」
鮮血を撒き散らし、目を潰されてもなお、黒鉄の騎士は咆哮をあげて押し返した。
「我らはヘルマンの軍の中においてすら、最強と名高い第3軍! キサマらリーザスの軽い剣など効かぬわぁ!!」
「くっ! なんてタフさっ!」
レイラの圧される剣を見て、たじろいでしまう赤の軍だったが。
「赤の軍との共闘、か。オレの刃も、お誂え向きだな。……遠慮なくいかせてもらおうか?」
その背後には清十郎が控えている。
最小限度の防御しかしておらず、所々の傷跡も増えつつある。……が、それは清十郎の戦術の1つでもあるのだ。……彼の異能を最大限に活かす為の。
「舞え、犠血。我が敵を穿て!」
傷口から 血が吹き出す。だが、それは周りに散らばるのではなく、意思がある様に槍の形に形成すると、まるで蛇の様にしならせ、ヘルマン兵士に襲いかかる。
「がぁぁぁぁ!!」
目を潰され、それでも押し返していたのだが、うねる血刀を回避する事など出来ず、もう片方の目も突かれ、鎧内部へと侵入した血刀は身体中を穴だらけにした。
「ウラララララァァァ!!!!」
そして、清十郎の傍では、襲い来るヘルマン兵を一蹴。
リーザスの剣を軽いと称し、押し返す事など訳も無い、と言う第3軍の兵士だったが、その軽く早い剣の極地。リックの斬撃が目にも止まらぬ速度で全身を切り刻まれ、あっと言う間に絶命させられたのだ。
命がなくなれば、反撃のしようがない。
「流石……ね」
2人を見て、呟くのはレイラだった。
清十郎の犠血については、何度か見た事がある。恐ろしい業だと思えていたが、今はとても心強いのだ流れ出た血が、ヘルマン兵を蹂躙していく。リーザスの流した血も 多い。……まだまだ、返しきれていないのだから。
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