第3章 リーザス陥落
第75話 ホッホ峡の決戦W
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晶化光線に、晒され、いくつもの青い彫像が作られていく。苦しみ悶えたその表情が、その光線の威力を物語っていた。
「っ、と……覚えてなさい…… リメンバーミー!」
無理になぎ払った反動で足をふらつかせつつ、サファイアは一目散に姿を消した。
「流石は、魔の使徒、と言うだけのことはあるな。……常人であれば、良くて致命傷だ」
「……そう、ですね。これ以上はもう追えません。不利になるだけでしょう」
「ちぃ……」
周囲では、まだ両軍の激突は続いている。少なからず、サファイアによって被害は出ているものの、矛が収まるのはまだ先だ。 もう撤退した敵相手に時間を使っている場合ではないのだ。
「……このままヘルマン軍の横腹を貫きます」
「そうね……了解」
「まだまだ続く、か……。くくく。やはり 面白い」
3人は、そのまま再編の被害を狙うヘルマン兵達を切り捨てていった。
サファイアの攻撃によって、分断されかけたリーザス兵だったが、死神のリックの一声もあり、レイラや清十郎の健在、魔人の使徒、サファイアの撃退によって、再び士気を取り戻し、一本の槍となって、動き始めたのだった。
〜後方高台・ジオの街 側〜
戦況を静かに見極めているのは魔人アイゼルだ。
今の状態を幅広く、確認をし続けていた。
「ふむ……またしても、あの……戦車ですか。あれが大勢を覆す鍵になっていますね……」
形の良い指さきを唇によせて、アイゼルは沈思する表情を作った。
そして、自陣の様子も確認する。
「ガーネット、そしてサファイアも敗れましたか……(もう少し、希望が見えなくなった状態の方が興味深いものを見られそうか……、そして、あの男も……)」
今後の行動を考えていた時、そのアイゼルの横顔に見とれている者がいた。最後の使徒の1人、トパーズである。
「はぁ……アイゼル様……、アイゼル様の物憂げな横顔、独り占め……ふふ、うふふふ……」
使徒の全員がアイゼルに心酔しているが故に、アイゼルの一挙一動を見逃さない様にしているのだ。そして、負けず嫌いでもある彼女達。だから、トパーズは非常に喜んでいた。
そんな時。
「トパーズ」
アイゼルに突然呼ばれてしまって、声が裏返ってしまう。
「あ、あっ! は、はいアイゼル様! どうされましたか」
「私も戦場に身を投じたくなりました」
「あ、あっ……で、では私も……」
「いえ、貴女はここに。2人が戻ってきたら、兼ねてからの手筈通りにしなさい」
「は、はい。アイゼル様。あれですね」
「では、……任せましたよ」
高所より、ふわりとアイゼルは落下していった。
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