暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
もう一つの決着
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だ。耐熱、耐冷効果はおそらくGGOサーバ内でも屈指の強度を誇る。光剣のエネルギーブレードは、突き詰めれば実体のない超高温の空気の塊のようなものだ。

つまり、光剣の刀身は防御行動がとれないのだ。相手の攻撃をステップ回避でしか躱せないその難度は近接戦闘に詳しくないシノンにもわかる。

無論、相手に攻撃などさせなければいいという話なのだが、狙撃手のスキルで拡大された視界に移るぼやけた背中はこれまでにないほどの緊迫感を放射している。

事実、視界の中の黒衣の剣士は俊敏な動きで光剣の軌跡を描くが、直後に死銃の剣が蛇のようにその合間を縫い、少女のようなアバターの身体を次々と抉っていった。

「――――ッ!!」

シノンは、ノドから迸ろうとする絶叫と、トリガーに指を掛けようとする衝動の双方を懸命に堪えた。

約七百メートルも離れた戦場では、キリトがアバターの全身から真紅のダメージエフェクトの光をこぼしながら吹き飛ばされる。

まさかあの連続攻撃でHPを全損してしまったのでは、と息を詰めるが、幸い黒衣の光剣使いはDEADタグを抱えることなく砂漠を一度蹴って後方に宙返りし、いっそう大きく距離を取った。

しかし死銃にはもう仕切り直すつもりはないのか、幽鬼のようにざわざわとマントをなびかせながら間合いを詰める。

先刻死銃との撃ちあいで粉砕されたヘカートのスコープさえ無事なら、狙撃でキリトを支援することもできただろうが、この距離をスキル支援はあれど肉眼では、さしものシノンも予測円を収束できない。闇雲に撃てば、最悪キリトに当たってしまうこともありうる。

―――何か、何かないの?キリトを援護できるような……助けることができるような……。

今いる岩山から降り、接近するのは逆効果だ。標的に銃弾を浴びせることで《儀式》を完成させる死銃の殺人システムの特性上、黒星(ヘイシン)を自分に向けられた瞬間、キリトは動けなくなる。かといって、スコープなしでの狙撃はただのギャンブルだし、サイドアームのMP7では射程がまったく足りない。

「…………いや」

ある。

シノンの脳裏に、電撃的に閃くものがあった。

ある。たった一つ、今の自分がアクティブに行える《攻撃》が。

どこまで効果があるかは判らない――――が、やってみる価値はある。

大きく息を吸い、ぐっと奥歯を噛みしめて、少女は彼方の戦場を再度見据える。

とすれば、できるだけ早くした方がいい。見ていれば、同じ剣同士の戦いであっても、技術はともかく武器の性能差――――いや、この場合は相性さによってキリトが劣勢になっている。何とかステップで回避しているものの、掠りダメなどで長引かせてはジリ貧になるだろう。

息を詰め、シノンは抱えていたヘカートを持ち上げると、ストッ
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