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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十六話 新星と遺物
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な安堵の表情と、小さな笑みが浮かんでいる。その表情を見て確信した。つまるところ目の前の青年は、この試合中、いや、おそらくは始まる前からずっと“この状況”に向けて歩いていたのだ。

「くっ……そっ……!」
全身に力を込めて、体に絡みつく蔦のようなそれらを振りほどこうとする。だが、いつの間に足だけでなく、振り下ろした腕すらも地面の中に半ば埋まっている、そんな状態でいくら四肢を振るおうとしたところで、動けるはずもなかった。何より……

「なんなんだよこりゃあ……!?」
全身に絡みついた異様に硬いロープのような物体が、それを許さなかった。混乱した頭が、腕に絡みついた“それ”を、目にして、気が付く。
自分の身体に絡みついたそれは、床から伸びていた。いや、正確には、“床「その物」が形を変えて体に絡みついていた”つまり自分は文字通り、床そのものにつかまっているのである。
ロックバインド、ある程度の魔法知識の中から、反射的にその魔法の名が頭に浮かぶが、それとは違う。あれは床の一部を岩に変えてその岩を隆起させて対象を拘束する魔法である。こんな風に、“床に直接相手を埋め込む”などという芸当で拘束する魔法ではない。

何より、おかしなのはこのロープじみた拘束帯である。
仮に床を使ってロックバインドをかけようとしても、今自分がつかまっているような細長いロープのような拘束帯になりはしないし、もし仮に形状変化によってそれらが可能だったとしても、この異様な強度に説明が付かない。

物体の強度というのはあくまでも物体ごとに決まっている。そして何より、一口に強度といっても、それぞれの物体の強度には特性があるのだ。確かにこのフィールドの床材は硬いだろうが、例えばダイヤモンドで細い糸を作ったところで傷つくことはなくても折ろうとすれば簡単に折れてしまうのと同じように、岩のような硬さを持つ床材でこんなロープを作ったところで、今のように体を締め付けるように拘束する柔軟性のある物体にはなりえない……筈だ。

「その質問にお答えしたいのは山々なのですが、時間がないので……」
「な、ゴッ!?」
「失礼します。それでは、また」
苦笑するスフィーの顔を見ると同時に、衝撃が奔る。視界が揺れ、自分が顎を打たれたのだと理解するよりも前に、その意識が暗闇に落ちた。

────

「[Cリング、選考終了。]」
「…………」
「うわー、疲れてる疲れてる」
放送が響くと同時に、スフィーが疲れたように息をついてリングから出ていくのを、上位陣は苦笑しながら、少女たちは……やや絶句しながら見ていた。

「あれって物質操作の一種だよね……?」
「うん?あぁ、そうっすね。さっき言ってた、彼奴の得意技です」
ディエチの質問に、ライノが続いた。彼女はどうやら初めて見る魔法にやや興味
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