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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十六話 新星と遺物
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、かわす、かわす、かわす。フィールド内をとにかく動きまわり、スフィーは回避を続けた。が、当然それも、永遠に続けられるわけではない。

「はぁ……はぁ……」
「ここまでだなぁ」
三分ほども逃げ回ると、スフィーは息を荒げて再びステージ端へと追い詰められていた。状況は先ほどに酷似している。違いがあるとすれば……彼自身に次の一撃を交わすだけの余力が残っていないことくらいだろうか。

「(やっぱり、身体強化がないと動き回るのがしんどい……研究室にこもってるばっかりじゃ、こうなるのは分かってるけど……)」
「……?おいおい、話せねぇほどばてたのかぁ?」
「(体力づくり、足りてないなぁ……)いえ……まぁ、かなり……はぁ……疲れては、いますが……」
なんとか息を整えながら、スフィーは上目気味に男に向き直る。自分よりもはるかに体力を使ったはずの男は、けれど自分と対比するように、息一つ乱してはいなかった。なんというか、真面目に体を交換してもらえないだろうか、いやホントに。
そんなスフィーの心中を察してか、あるいは無様をさらす目の前の弱者を見てか、男は憐れむように、あるいは嘲笑するように、フンっと一つ笑ってみせた。

「まぁ、本職じゃねぇところでよく頑張ったよアンタは。せめてもの礼儀で、一発で終わらせてやるよ!」
「そうですね……」
はぁ、とため息をついて、振り上げられた拳から目をそらすようにうつむきため息をついて、彼は言った。

「それでは、そろそろ終わりとしましょう」
地響きを立てながら、男の拳がスフィーの、“手前に”着弾した。

「は?」
間抜けな声を上げて、男はふと、足元を見る。何故拳が外れたのかといえば、話は単純で、踏み込みの脚に、まるで地面を踏みしめた感覚がなかったからだ。おかげで踏み込みがおかしくなって、狙いが綺麗にずれた。
その原因は、すぐに知れた。右足が、まるで泥沼を踏みしめたように“地面にめり込んでいる”。

「なっ!?」
流動せよ(フロウ)
突然、地面がうねった。まるでそれが当然であるかのように、男の周囲の地面がうねり、伸び上がる。

「こ、こりゃ、なんッ!?」
(バイル)
まるで指揮をするかのように、スフィーが人差し指と中指をそろえて、くいっと上げた。すると伸び上がった無数の土のような、岩のような紐状の“それ”が、男の全身に絡みつき……

捕縛(ロック)
「ぐぅっ!?」
ガッチリと、固まった。
全身をからめとられ全く身動きが出来ない己の状況を把握して、男は焦ったように言った。

「ば、バインド……!?」
「それは、結果ですね」
突如、意味不明な返答が正面から降りかかり、男はそちらを見る、息を整えたスフィーが、自分を真っすぐに見つめ返していた。その瞳にはホッとしたよう
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