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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十六話 新星と遺物
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…」
「ククク、生憎と初出場でなぁ……去年までは鍛えに鍛えて、力をためていたわけだ」
「成程……うーん、この通りガリガリな身としては、羨ましい限りです」
あはは。と笑う彼の言葉には、純粋な羨望はあれど、嫉妬するような調子はなかった。純粋に、自分にはない肉体スペックを羨んでいる、といった様子だ。
どこか子供っぽくすらあるそんな様子に、自らの優越感を刺激されたのだろうか、ニタリと笑って、男はガンっと右拳を左の掌にぶつける。

「安心しろよ学者先生、お前も他の上位選手も、みんなまとめて敗者復活戦に送ってやるよ……俺がなぁ……!」
「はは……大きく出ますねぇ」
そんなに甘くはないと思うけどなぁ、と、スフィーは頬を掻いた。そんなかれに続くように、放送の声が響く。

「[Cリング、スタンバイ、セット!!]」
「なぁに、意味はすぐに分かるぜ……」
「[レディ──]」
「あんたの身体でなぁ!!」
「[──ゴー!!]」

────

「(早いなぁ)」
ドゴン!!と凄まじい音を立てて地面をけりつけた大男の身体が、一息にスフィーに肉薄する。
筋肉の付きから見ても岩のごとき硬さだろう剛腕が振るわれ、スフィーはそれを思い切りバックステップを行うことで避ける。

IM選考会は、本戦とは違い、デバイスの使用を禁じられている試合である。選考会というのはあくまで選手の基礎スペックを見る場であり、デバイスによる過大な身体強化をされては意味がないからだ。

また、魔法のほうに関してもあくまでもスペックは本人の物に依存するため、デバイスを用いた大規模な魔法は行使できない。魔法演算の拡大に自らのデバイスに一役買ってもらっているスフィーとしては、ややこの部分は手痛いところがあった。

「(まぁ、だから選考会が苦手なわけなんだけ、どっ!)」
風を打つ音を響かせながら、振るわれた大腕を回避したところで、スフィーの脚が止まった。リング端に追い詰められたのだ。

「オラぁっ!」
「くっ……!」
両手を組んで振り下ろした大男の一撃を、転がるように左に逃げて交わす。腕が着弾した瞬間、リング全体が大きく揺れる。

「(素の筋力とデバイス無しの身体強化だけでこれぇ……!?)」
リング自体、簡単には損傷しない素材でできてはいる。だがそのリングを魔法でなく素手の一撃で地面をこうも揺らすとなると、自分程度では一撃食らえば即座に落ちる。やれやれ本戦でもないのにとんでもないのと当たったものだと思いつつ、スフィーはさらに追撃に来た拳を避ける。

「どうしたどうしたぁ!逃げるだけじゃ勝てねぇって分からんわけじゃねぇだろ学者せんせぇ!!」
「えぇ、よく、わかって、おりま、す!」
下がる、跳ぶ、しゃがむ、転がる。とにかくありとあらゆる手段を尽くして攻撃をかわす
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