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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十六話 新星と遺物
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「…………」
「緊張……は、してねぇみたいだな。クラナ」
『ノーヴェさん』
後ろから声をかけてきたノーヴェに応答しながら、クラナは閉じていた目を開く。右手を軽く腰に当てたノーヴェは苦笑しつつクラナの隣に並ぶ。

『四年ぶりに来た舞台は、どうだ?』
『……ちょっと、狭くなったような気がします』
『っはは、なるほど。だろうな』
素直な印象で答えると、ノーヴェは納得したように苦笑した。確かに、成長期も過ぎ始めたころと、成長期前だ。以前見ていた景色とは全く別の景色に見えているだろう。

「……チビ達は全員スーパーノービスからになったぞ」
「!」
まだ言っていなかったことを思い出して、ノーヴェは少し笑いながらクラナに行った。かれは一瞬ピクリと肩を震わせると、ほんの少しだけ嬉しそうな声で答える。

「……そうですか」
「おう、さて、ここでお前が躓くわけにはいかねーなぁ?先輩?」
「うぐ……」
苦笑しながら、クラナは頬をポリポリと掻く。

『プレッシャーかけないでくださいよ……緊張がこみ上げてきそうです』
『馬鹿言え』
舞台を見て、“狭くなった”などと抜かすような人物がまともな緊張などしているものか。と、ノーヴェは鼻で笑って見せる。

『緊張ってのはああいうのを言うんだよ』
顎でノーヴェがさした先には、何やらやたらとオロオロウロウロした様子の青年の姿があった。

『あれって……』
『ん?』
その人物のやたらと朱い顔に見覚えがある気がして、クラナは少し目を凝らす。ブラウンの短髪に、一見すると女性と見間違いそうなほど中性的な顔をしている。なぜか頻りに周囲を気にしていて、見ているほうが心配になってくる。

「……クレヴァー?」
「知り合いか?」
「あ、いや……(知り合いっていうか……)」
顔見知りだったその顔を見て、クラナはポリポリと頬を掻く。と、目があった。

「「あ」」
どうやら、相手もこちらを覚えていたようだ。おずおずと片手を上げてみると、慌てたように頭を下げて……逃げた。

「……クラナお前、なんか嫌われるようなことでもしたのか?」
「えっ」
非常に微妙そうな顔で自分を見たノーヴェに、クラナはショックを受けたように振り向いた。

────

「何してんだ彼奴は……」
「ライノ先輩、どうしたんですか?」
「いや……」
頭に手を当てて、ライノはスタジアム内の一点を指さす。

「今クラナから逃げた彼奴……」
「え?……あの、小柄な方ですか?」
「なんだ、知り合いか?なんか白翼と目があったとたん逃げてたぞ?」
「いや、あれ逃げたっつーか……」
コロナとスルトの返答にライノはますます微妙そうな顔になる。別に彼は逃げたわけではない。いや、正確には逃げたのだが、決してクラナに前に
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