第一部
第二章 〜幽州戦記〜
六 〜邂逅〜
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断能力はない。
いずれは身につけて貰わねばならぬが、な。
「では、頼む。我らは敵本陣の部隊と合流し、そこを死守する故」
「わかった。ほな、また後でな!」
素早く馬に跨がり、張遼は駆けていった。
「お兄さん、あの人もご存じなのですか?」
「うむ。『神速の張遼』、文武に優れた名将だ。泣く子も黙る、というぐらいだからな」
「……歳三様がご存じなのは、女性ばかりなのではありませんか?」
「稟ちゃん、焼きもちですかー?」
「な。ふ、風!」
「稟、風、戯れるのは後にするぞ。廖化に合流せねばならん、愛紗達にも伝えよ」
「御意」
「御意ですよー」
敵本陣のあった場所に着くと、大歓声で迎えられた。
そして、今回の立役者である廖化が最前で待ち構えていた。
「よくやってくれたな。おかげで、勝利を得る事が出来た」
「い、いえ。ケ茂と程遠志が、うまうまと乗ってくれたおかげでさぁ」
そう言って笑う廖化。
「にゃ? お兄ちゃん、一体どういう事だったのだ?」
「そうですぞ、ご主人様。そろそろ、種明かしをしていただきたい」
「いいだろう。まず、風に、私達の実態を誇張して流布させたのだ。そうすれば、まず程遠志は侮ってかかるだろうからな」
「槍や剣ではなく、わざと鍬や鋤を兵士に持たせましたしねー。もちろん、敵の目につく一部だけでしたけど」
「そして、この廖化は、韓忠の元で副将的な立場にいた。もちろん、黄巾党がいくら賊軍とは言え、その程度の情報は伝わるものだ。だから、韓忠が討ち取られて、そのまま程近い程遠志のところに逃げ込んだとしても、何の不思議もなかろう?」
「なるほど。それに風の流布した情報と併せ持てば、後は彼らを煽るだけで簡単に出てくる……そうですな、主?」
「そうだ。結果、まずケ茂が鈴々に討ち取られた」
「当然なのだ♪」
「程遠志が黙っている訳がない。後は、廖化が煽り立てれば、出撃してくるだけだからな」
「へい。本陣を手薄にする事を懸念する奴もいやしたが、俺が残って守る、と伝えると、程遠志はそれで肚を決めたようで」
「後は、皆が知っての通りだ。愛紗も、見事だった」
「い、いえっ、そ、そのような」
「何を慌てておるのだ、愛紗? 顔が赤いようだが」
「な、何を言うのだ、星! こ、これはかがり火のせいだ!」
「そうかな? 主、私の働きは不服でしたかな?」
「いや、あの挟撃はまさに絶妙だった。此度は、皆の力あっての勝利だ」
私は廖化の肩に手を置いて、
「お前も、良くやってくれた。約束通り、我が軍に迎えよう」
「あ、ありがてぇ! よろしく頼みますぜ、御大将!」
髭面に満面の笑みを浮かべる、廖化。
「もはやお前は黄巾党ではない。かつての仲間を殺す事になるが、覚悟
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