6部分:第六章
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第六章
文化祭等の展示でもだ。誰もが彼女の花を見て言うのだった。
「奇麗ねえ」
「こんな奇麗な飾り方ってできるんだ」
「何ていうか。これって」
「凄くない?」
「凄いなんてものじゃないから」
こう話すのだった。皆光子の花を見て。
「天才じゃない?」
「お花の先生やれるよな」
「いや、下手な先生より凄いよ」
「本当にね」
「あの、それで飾った人は」
「誰なの?」
話は光子自身のことになった。花を飾った彼女のことにだ。
「それで一体」
「どの人が」
「あっ、そのお花を飾った娘ね」
ここで上村先生が彼等のところに来た。そうして言うのだった。
「それはね」
「華道部の人ですよね」
「そうですよね」
「ええ、そうよ」
先生はにこやかに笑って彼等に答える。
「華道部の宮原さんよ」
「宮原さんって天才ですか?」
「そうなんですか?」
皆だ。こう光子について言うのだった。
「こんな素晴しいものを飾られるって」
「天才ですよね」
「そうですよね」
「そうね。天才っていうのは」
先生は笑顔で。自分より背の高い彼等を見上げて話す。
「九十九パーセントの努力だから」
「それに一パーセントの閃きですよね」
「その二つですよね」
「実際には一パーセントの閃きはどうでもいいのよ」
それはどうでもいいというのだ。では大事なのはというと。
「九十九パーセントの努力がね」
「それが大事なんですか」
「要はそこですか」
「そうよ。だからね」
先生の話は核心に至った。その核心は。
「宮原さんは天才なのよ」
「努力する天才」
「そういうことですか」
「だから」
「宮原さんは努力をしたの」
そうしてだと。先生は生徒達に話していく。
「それで天才に成長したのよ」
「あれっ、じゃあ天才って」
「なるものなんですか」
「そうなんですか」
「そうなの。なるものなの」
まさにそうだという先生だった。
「天才は最初から天才じゃないのよ」
「ですか。じゃあ私達も」
「こんなお花を飾れるようになるかな」
「そうなのかな」
「なれるわ。ねえ宮原さん」
先生はここでだ。その光子を呼んだ。それでだ。
ここに来た光子にだ。こう言うのだった。
「このお花を飾るまでには」
「何回も練習しました」
実際にそうしたとだ。光子も素直に答える。
「どうなるか心配でしたけれど」
「それでもですか」
「ちゃんとできた」
「そうなんですか」
「そうです。何とかできました」
こうだ。光子はいつもの謙遜で話す。
「上手くできたかどうか不安ですけれど」
「こうなのよ。このお花を飾った宮原さんもね」
そのだ。彼女もだというのだ。
「努力してこういうものを飾れるようにな
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