優艶なる王達の茶会にて
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てちょうだい」
「わたくしからも謝罪しますわ、せっかくの優雅なお時間でしたのに」
「いえいえ、私もわがままを言いました。国がなければ美味しいお時間も作れません。あなた方のお話を邪魔するわけにも行きませんし……」
爽やかに笑った店長が、懐より取り出したのは一つの紙切れ。
「請求書を置いておきますので、ごゆるりと」
「もう帰るの?」
「もう少しゆっくりしてくださればいいのに」
「申し訳ありませんが。
三号店の建設に伴い、二号店の副店主にいろいろと仕込まないといけませんのでね。ああ、そうでした……この茶器は知り合いに焼いて貰ったモノなのですが、お気に召したのでしたらお安くしておきますよ。では、私は店に戻ります」
ちゃっかり営業を掛けつつ、取るモノだけは明らかにして去って行く商売人に、抜け目ないと華琳は小さく笑う。
店長の背を見送った後、麗羽が茶器をじっと見ていた。欲しいのだろう。欲しいに違いない。光沢さえ放つ美しい茶器は、華琳とて欲しいが……首を振る。
二人で獲り合うよりも、もっといい方法があった。
「店長も忙しいから仕方ない、か。
で……麗羽はこの茶器が欲しいの? 私は今回はやめておくけれど」
「いいんですの?」
「ふふ……あなたと私のお茶会の記念としておいて。遠路はるばる報告に来てくれたのだから、土産としてあなたに贈りましょう。しっかりと私の留守を守って貰って、勝利後に南皮でお茶会をする時に必要でしょうし、ね?」
あんぐりと口を開けた麗羽。まさか華琳が譲るなどと、天地が引っくり返っても言わないと思っていたのだ。
きっと何か考えがあるのだろう。しかし……邪推することこそ失礼に感じて、麗羽は直ぐに目を伏せて微笑んだ。
「ありがとうですわ。でしたら受け取りましょう。わたくしの街でお茶会をする時は良い茶葉を仕入れてきてくださいまし」
「西涼か益州の土産を楽しみにしてなさいな。あのバカも私も、タダで帰るわけもないのだから。今度はあいつを店長のような執事役にしてあげましょう」
「それはいいお考えですわ。それよりも……秋斗さんのこと、よほど信頼しておられるようですわね」
「……」
問いかけに一寸ハッとした華琳の表情が曇り、何処となく苦々しげなため息を吐き出して麗羽を見つめる。
「信頼? 違うわ。これは信用というモノよ」
「……そういうことにしておきますわ」
「勘違いしてるわね? 私は、頼ってなんか、いない。あいつの仕事の出来高を信用してるだけなの」
「ふふ、そういうことにしておきますわ」
「くっ……官渡を越えてから生意気になったわね、麗羽」
「そういう華琳さんは昔からの意地っ張りも程々にした方がよろしくてよ?」
まるで遊び相手を待っている子供のようだ、とは口が裂
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