4部分:第四章
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第四章
「宜しくね」
「はい、宜しく御願いします」
こうしてだ。光子は華道部に入部したのだった。しかしだ。
その正座からだ。彼女は苦労した。
とにかくすぐに痺れてしまう。華道は正座が第一だからかなり大変だった。毎日額に脂汗を流してだ。苦しい思いをしていた。
だがそれでもだ。彼女は正座を続けるのだった。
「あの」
「はい」
その彼女にだ。先生が声をかける。
「正座崩してもいいわよ」
「いえ、それは」
「しないの?」
「華道は正座するものですよね」
このことをだ。真面目に言うのである。
「ですから」
「そう?いいの?」
「正座。続けます」
脂汗を流しながらもだ。まだ言う光子だった。
「そうさせて下さい」
「そう。そこまで言うのなら」
先生も光子のその言葉を受けた。こうしてだった。
彼女は正座を続けた。それを続けているうちにだ。
やがてだ。正座にだ。慣れてきたのだ。
それで長時間正座を続けられる様になった。それを見てだ。
先輩達もだ。こう言うのだった。
「あの娘何か」
「頑張ってない?」
「そうよね。頑張ってるわよね」
「かなりね」
こうだ。彼女を見て話す。
「辛いのにあえて正座して」
「そうして慣れるって」
「普通できないわよね」
「私には絶対に無理よ」
こう言う者も出て来ていた。
「もう辛いの苦手だから」
「そうよね。私も」
「私もよ」
これはだ。彼女達の誰もが同じだった。そしてだ。
同級生の一年生達もだ。こう言うのだった。
「何か。光子って凄くない?」
「努力家って聞いてたけれどああした努力もするって」
「辛いのに。あえて我慢してって」
「華道には正座だっていうからって」
確かにその通りだがそれでもだ。苦しい思いをしてあえて慣れた彼女をだ。皆驚嘆と共に認めてだ。こうしたことを話すのだった。
こうして正座は慣れた。しかしだ。
その飾る花は相変わらずだ。異次元なのだった。
やはり突拍子もないものだ。イソギンチャクにも見える。もっと言うとラグクラフトの小説に出て来る様な感じだ。その花を見てだ。
また先生がだ。彼女に言うのだった。
「あのね」
「はい」
「よかったらだけれど」
こう言ってだ。光子にあるものを差し出した。それは。
本だった。華道についての本である。それを差し出して言うのだった。
「これ、読んでみて」
「華道のですか」
「この本にあるみたいなお花の飾り方できる?」
「やってみます」
すぐにだ。こう答える光子だった。
「この本にあるみたいにすればいいんですね」
「してみて」
「わかりました」
こう答えてだった。実際にだ。
光子は本の通りの飾りをしていった。それでも最初は。
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