第3話 魔術使い
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
召喚されてから即座に行動した怪人――――アサシンのクラスに当てはめられている呪椀のハサンは、夜闇を一直線に駆けていき、標的の人物と義妹の姿を河川敷にある土手で見つけた。
如何やら今日の金曜集会を終えて、帰宅するところの様だ。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ハサンは、即座に標的の義妹を捕えてから、人質として人気のない場所におびき出すと言う策を練ったが即座に棄却した。
この怪人は非情なれど外道では無い。
基本的には自分に仕事を出す依頼人や主の意向に沿うが、それが無い限り合理性と自分の流儀を取る。
少なくとも人殺しを生業とする暗殺に、悦を感じ取ってはいないのだから。
そして、今回の主であるガイアは、どの様な理由かは定かではないが、極力標的のみを狙えと言う命令だった。
しかし、理由は定かでは無いが推測は出来た。
自分をこうして現界させる程度の魔力供給は常に送られてくるが、宝具を使える回数は1回のみ。
自分は暗殺者としては超一流の自負はあるモノの、英霊としては総合的に一流としては劣る事も自覚していた。
こうした事から如何やらガイアは、少なくともこの世界への干渉力が低いと見ていい。
そうでなければこの辺り一帯の被害など考えずに、強力な英霊を呼び出すはずだからだ。
兎も角、無駄なく標的を仕留める為にハサンは尾行を開始した。
しかしこの怪人は気付いていなかった。
自分だけが狙う側では無い事に。
−Interlude−
百代は金曜集会で一応気分をリフレッシュできたのか、風呂から上がった後は気分よく鼻歌を歌いながら自室に戻っていった。
そんな標的足る百代を、一時の間以外はずっと目を放さなかったハサンがいよいよ行動に移そうとしていた。
「娘――――川神百代。せめて苦しみは一瞬の内に終わらせて逝かせよう。それが私に出来る、せめてもの慈悲だ」
そこからハサンは宝具を解放すべく、右腕に巻かれた布を剥ぎ取りながら魔力を周りに迸らせた。
その右腕は異形とも言うべきものだった。
通常の長さの2倍ほどもある腕に、赤黒く不気味な大きい掌が有った。
そしてこの能力の条件として、先程の尾行中に微かに標的に掠るくらいに触れていた。
当の百代には気付かせることなくだ。
これにより条件は全て揃っているので、何の憂いも無かった。
「――――ォオオオオオオオオオ」
ハサンは百代に形状に似た二重存在をエーテル塊として作り上げた。
そのコピーの心臓を握りつぶして、標的を呪殺すると言うのがハサンの宝具だ。
言ってみれば、即席の藁人形である。
「苦悶を溢せ――――妄ごふっっ!!?」
後は握りつぶすだけと言う
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ