第3話 魔術使い
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所で、ハサンの後頭部から口内を突き抜ける何かに襲われた。
「がぉっ!ごっ!」
その他にもほぼ同時に、この怪人の右掌と心臓部分が貫かれた。
その何かとは剣だった。
何の装飾も無い無骨な西洋剣為れど、単なる剣には無いはずの魔力を放っていた。
木の上から百代を狙っていたハサンは、その衝撃に落下していく。
致命傷を受けた怪人の体が徐々に魔力の滓にに変わる中で、激痛すらも消えかかる薄っすらとした意識の無意識の狭間でハサンは思った。
(あぁ・・・私・・・事が・・殺者・・しての基本・忘れ・・・怠る等・・無様・晒して当然・・・)
暗殺者は常に狩る側では無く、何か見落としが有れば瞬時に状況が翻ると言うのを忘れていた様だ。
ハサンは自分への叱咤と僅かな後悔の中、自分が自分足ら占める宝具を解き放つことは勿論、戦闘を一度も行うことなく世界に還って行った。
−Interlude−
ハサンが消滅した川神院の庭先から、10キロ程離れた高層ビルの屋上に黒い洋弓を持っていた赤い外套の人物である士郎が居た。
よく見ると士郎が履いているのはエミヤシロウとは違い、袴姿で日本刀を二本程腰にさしてある。
そして勿論ハサンを突き刺し殺したのは、士郎が投影した無銘の剣類だった。
しかもここからの精密射撃である。
「・・・・・・・・・・・・ハァ」
ハサンの射殺に成功したにも拘らず、士郎がついたのは安堵の息では無く溜息だった。
確かに目標はクリアできたが、問題はその内容だ。
士郎は、百代をこの地点からある一時――――入浴時以外は監視していたので、ハサンの事も気づいていた。
にも拘らず直に仕留めなかったのは確実性を期すためだった。
あのハサンは見覚えが有ったので、アサシンのクラスとして召喚されたと予想した士郎は機を待つ事にした。
此処でもし逃がせば次は確実に後手に回り、どれだけの被害を齎すかが解らなかったからだ。
それ故に、敢えて百代を囮にした上で、ハサンの宝具解放の瞬間である大きな隙を狙っていたのだった。
これが士郎の立てた臨時の策であり、溜息の原因でもあった。
客観的に見れば相手は英霊であり、被害を出すことなく神秘も秘匿することが出来たと言う事なしだが、士郎は同級生である百代を囮に使った自分の非情さにと弱さに、憂いていたのだ。
客観的に言わせてもらえれば、士郎は魔術使いとしては最強の部類だし、戦闘者としても万華鏡を師としていた頃に様々な平行世界に送られて行き、その経験と技法を生かして中々の強者になっている。
しかし士郎には今夜のうちにもう一つの仕事が残っていた。
「何時までも落ち込んでいてもしょうがない。とっとと行くか」
今
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