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逆さの砂時計
オペラセリアのエピローグ 4
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か。

「私はクロスツェルと一緒に行くって決めた。でもお前はまだ、誰も何も、レゾネクト以上には選べてない。こんな状態のままで、私がクロスツェルと一緒に居て良いのか? って尋いてるんだ」
(クロスツェルには幸せになって欲しい。それも私の本心よ。だからこそ、貴女に委ねたの)
「違う。クロスツェルじゃなくて、お前のこれからをどうしたいのか、だ。あのなあ、アリア。私はお前を責めてるんじゃない。レゾネクトと直接顔を合わせるのが辛いって言うんだったら、クロスツェルが生きてる間くらいは寝かせといてやるぞって話をしてるんだよ」
(!)
「あんまり長くないけどな。どうせ、現実からは逃げられやしない。本音を片付ける時間を作ったって、誰にも怒られねぇよ。そういう空白だったら、逃げ出すのとは全然違うし、卑怯とも違う」
(でも……)
「クロスツェルのことは気にしなくて良い。事あるごとに誰かの願望を拾い集めていちいち自分を壊してたら本末転倒だろう? お前も、私も、自分がしっかりしなきゃ話にならない。その為に必要な休憩ってヤツだ。無理矢理私に付き合うか。少し休んで自分を立て直すか。お前が、この場で決めろ」

 私の腕は短くて、隣に居る誰かの体も抱えきれない。
 どれだけ必死に伸ばしても、小さくて非力な両手じゃ、何も掴めない。
 けど、このまま見逃して見過ごして諦めるのも腹が立つくらい嫌なんだ。
 だから、届かなくても伸ばし続ける。
 届くまで諦めたりしないって、私はそう決めた。

 なら、お前は?
 お前はこれから、どうしたい?

(……ありがとう、ロザリア)

 長い長い沈黙の後。
 うつむいてたアリアがゆっくり顔を上げて、力なく微笑んだ。
 本当に、指先で軽く突けば崩れ落ちそうな、弱々しい微笑み。
 夜の獣道を歩いて歩いて、ようやく小さな灯りを見つけて。
 安心感と喜びと極度の疲労が一度に放出されたみたいな、情けない顔だ。

(ほんの少し、クロスツェルが倒れる前には起きるわ。それまでの全部を、貴女に押し付けても良い?)
「寝たきゃ寝ろっつったのは私だ。こういう場合は、押し付けとは言わん。だが、感謝は忘れないように」
(ふふ……、ええ。忘れたら凄まじい勢いで怒鳴られてしまいそうだもの。目を覚ましたら、またお礼を言うわ。……少しの間、お願いします)

 自分自身に頭を下げられるってのも、なんか奇妙な感じ。
 まあ、出来が悪い姉だとでも思えば、違和感ばかりでもなくなるか。

「任せとけ。お休み、アリア」
(お休みなさい、ロザリア)

 アリアが目蓋を伏せてすぐ、気配がぷつんと途切れた。
 意識の空間を閉ざしたから、私でも簡単には起こせないだろう。

 今のうちに爆睡してりゃ良いさ。
 起きれば今度こそ、自分の
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