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SAO−銀ノ月−
第九十三話
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「ふふ」

 そんな様子が短い付き合いながらも想像出来て、ルクスは少し笑って余裕を取り戻す。ショウキとユウキには後で感謝の言葉を伝えて、リズたちには謝らなければ……それでいつか、このトラウマをみんなに話せるくらいになれば。

「ルクス! 大丈夫!」

 そう思いながらクラゲの幼生体を蹴散らしていると、リズが向こうから同じようにして現れる。数は多いが単体の戦力はそうでもなく、囲まれても対象出来るくらいではあったが……とにかく数が多く。この洞穴からの脱出はとても望めない。

「ああ。突出してしまってすまない、リズ」

「やっぱりパレオない方が似合うわよ、ルクス。ってそれはともかく。今から舟が来るから、あんたそこに飛び乗りなさい!」

 そんな状況で無理やり突破してきたらしく、ルクスと合流出来たのはリズ一人。そしてリズの目的もその伝言を伝えることらしかったが、いきなり放たれたその言葉の情報量を、ルクスは処理することはとても出来ず。

「……え?」

「詳しく説明してる暇はないわ。あんたはそれに乗って、一足先にここから脱出するの」

「あ、ああ」

 よく分からないまま返答しながら、辺りのクラゲの幼生体を駆逐する。特に海へと続く、巨大クラゲも通った水路周辺の幼生体を倒していると――その『舟』は到着する。

「アレは……」

 リズベット武具店の銘がはいったシールド。それをスノーボードのように――いや、即席の帆が張ってあり、風で動く帆船となっていた。もちろんサイズは比べるまでもないが、小型が故のスピードは高速で水面を滑っていた。

「今あんたが一番元気だからね。あたしとノリは武器の相性が悪いし……先に行って、あのエロクラゲぶった斬ってきなさい!」

「ああ!」

 リズの言葉に答えながらルクスは盾の帆船に乗り込むと、自身の風魔法もブーストして更なるスピードを加えていく。コンバートしたばかりのため、ルクスには大した魔法は使えないが……そもそもルクスが魔法を唱えずとも、クラゲの幼生体が追いつけないほどの速度だった。恐らくはリーファにシウネーが、もしかしたらシリカにノリも、MPを注ぎ込んで出来た風魔法で動いているのだろう。

「…………よし」

 仲間たちの力を全て受けた帆船は、巨大クラゲの後を追って洞穴を抜け――

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