暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第九十三話
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自身のMPが底をついていることに気づく。魔法をキャンセルされたのもそれが理由だろう。……それ以外にも何だか、徐々に抵抗する力が抜けていき、小さい触手がリーファの身体を這いずり回り――

「う、うう……やめっ……」

 身動きの取れないリーファだったが、カマイタチのような旋風がピンポイントに触手を切り裂き、そのまま支えを失って落下していく……ところを、黒い影がリーファを救い出し、そのまま巨大クラゲから離れていく。

「お兄ちゃ……」

「あいにくアタシ! シウネー! ナイス魔法!」

 黒い影から連想された人物が勝手にリーファの口から零れるものの、もちろんその人物は彼女の兄ではなく。同じスプリガンのノリであり、シウネーが放った魔法とタイミングを合わせて、リーファを救い出していた。

「シリカよりサービスシーンにゃなるかもだけどさ、そのお兄さんにでも見せたかったのかい?」

「そっ、そんなんじゃ……ないです……」

 色々と恥ずかしくて赤面しながらも、リーファはノリの否定の言葉を紡ぐものの、どんどんと尻すぼみになっていってしまう。そんな様子をノリは陽気に笑い飛ばしながら、反対側からエメリの姉を救い出したリズも飛んできたことで、パーティーは一旦合流する。

「シリカ、リーファ、動ける?」

「な、何とか……」

「結構強いじゃないのこのエロクラゲ……」

 HPはシウネーのヒールが回復するものの、疲労は隠しきれていない二人だが、ひとまず飛んで逃げることは出来るらしい。それを確認したリズは素早く状況を判断し、ある決断をメンバーに下す。

「エメリのお姉さんも助けたし、このクラゲの討伐クエストじゃない。ここはさっさと逃げるわよ!」

「でもそんなことしたら、このクラゲまで来ちゃうんじゃない?」

「確かに……」

 ノリの言葉に一同は確かに、と頷く。海岸にいるプレイヤー全員で倒す、ということが出来ればいいが、海岸にいるプレイヤーは非武装。そんなところにこの巨大クラゲを連れて行く訳にはいかず、リズはボソッと呟いた。

「ビーチには魔力たっぷりの女の子がたくさん……」

 ――ピタリ、とこちらに迫っていた巨大クラゲの触手の動きが止まり、リズは巨大クラゲと目があった。巨大クラゲは今のリズの言葉に反応したかのように、目をキラリと輝かせると鼻の下……鼻の下? を伸ばしたようにすると、リズたちには目もくれずに反転する。

「あ! 全力で洞穴の出口に向かってるアイツ!」

「リズさんがあんなこと言うからですよ!」

「そ、そんなこと言ったって!」

「と、とにかく追おう! いや行かせない!」

 少し混乱したかのようなルクスが飛び立つと、巨大クラゲのヘイトをこちらに向けようと、本体に
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