22話 戦場の蠢動 5.11
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はアナハイムの常務のオリサバンとの密約が済んでおり、最大限の利鞘タイミングで月へ向かうコロニーに推進力を与えようとしていた。
そこに敵襲の報告がマ・クベの下へウラガンからもたらされた。
「マ・クベ様。艦隊の後方が単艦にて攻撃してくる愚か者がいるみたいです」
マ・クベはウラガンを横目で睨みつけた。再び混乱極まるフォン・ブラウンの映像に目を戻した。
「単艦でできることなど何もない。さしあたり、ワイアットの差し金だろう。言わば演技だな」
マ・クベは戦略的なことを看破していた。大軍で率いることはソーラレイの的になる。しかし、フォン・ブラウンを見捨てることも連邦では不利に働く。一応手配したという事実を接近中の単艦に託したことを。
マ・クベは浅慮だと一瞬で悟った。単艦で向かわせること自体の効力が薄い。ワイアットが止めに寄越した敵だ。単艦で打開できる何かがあるかもしれない。自身の成功の秘訣は深慮遠謀だった。マ・クベは少しの油断も見せることはなかった。
「ウラガンよ。艦隊の半数を割いて、後方の敵を迎撃せよ」
ウラガンは耳を疑った。何故単艦で艦隊の半数を使う必要があるのかを。マ・クベは反応しないウラガンに再び命令した。
「聞こえなかったか。艦隊の半数で迎撃せよ。ワイアットを甘く見てはならない。単艦で目指す後方の敵は量より質で挑むつもりだ。鶴翼にて前進を阻み、包囲殲滅を図れ」
「はっ!」
ウラガンは後方の部隊に命じ、敵艦を包囲するような陣形で待ち構えることにした。
一方、マ・クベの艦隊を追跡してたアルビオンはシナプスを始めとする皆が一致して、後方より強襲を掛けられると踏んでいた。単艦での敵の侮りを期待しての事だった。
コウはアルビオンに牽引されたGP03に乗っており、いつでも出撃できる状態であった。
「・・・よーし。全て頭に叩き込めたし、コロニーをこれで止めてやる」
そう生き込んでいたが、ルセットの通信により出撃が見送られたことが伝わった。
コウはルセットに理由を聞いた。
「何故ですか?敵は目の前で、我々を侮っているのでは?」
モニターに映るルセットは残念そうな顔をしていた。
「敵は、侮らなかった。我々単艦に対して、数百ものの砲手がこちらを鶴翼にて待ち構えているそうよ。いくらGP03が1個大隊の戦力でもピンポイント攻撃には及ばない・・・」
「・・・分かりました。待機します」
コウはコックピットの中で瞑想に入った。
アルビオン艦橋でコウに通信を送ったルセットは通信士にお礼を言って、窓際で佇むニナに声を掛けた。
「ニナ、私たちで仕上げたガンダムで月を救えるチャンスだったのにね」
「そうね。そうすれば私たちの覚えもかなり良くなるはずだったのに・・
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