22話 戦場の蠢動 5.11
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ーの件はそちらに一任すると。但し無理はしないこと」
「はっ。直ちに通信致します」
ワイアットは再び紅茶に口を付けていた。そして戦略的視点で考えを巡らせていた。
「(月は月で何とかするに違いない。連邦の体裁で一応公式記録として防衛派遣をしないとね。艦隊を割くにしても、ソーラレイがある限り身動きも取れないからな。単艦という手前で奴らが侮ってくれたら良いんだがね。モビルスーツ1個大隊の火力をもつ彼らならそれなりの成果を得られるだろう」
* ギレン艦隊 ソーラレイ宙域 同日 10:20
ギレンの座乗艦はグワジン級の艦艇だった。艦橋の艦長席に座り佇むギレンは、この星の屑作戦について宇宙の支配圏を手に入れるための前哨戦であった。
傍には木星帰りのシャリア・ブル大尉が立っていた。ギレンは能力ある士官を重宝した。彼が指揮するモビルスーツ隊はジオンの中でも屈指の精鋭であり、親衛隊としてギレンは常に傍に配備していた。
今回は親征と銘打って、グレートデギンと実戦司令官としてキシリアを前面に出していた。ギレンはこの戦いを機にジオンの権力を自分一つにまとめようとも考えていた。
つまり、混戦模様でのソーラレイの誤射。それにより連邦とデギン、キシリアと葬り去ることを企てていた。
当の本人らはそのことを知らない。自分はア・バオア・クーにて後詰で戦況を静観していると伝えてあった。
ギレンはドズルを葬って以来、すこぶる親族の受けが悪くなっていた。しかし、ギレンは政務に打ち込むことにより野心のないことを姿勢で示していた。あれは誤射だったと。デギン、キシリアともに追及の手を拱くことになった。
ギレンはシャリアに語り掛けていた。
「フフフ・・・この作戦で邪魔な奴らが全て消える。私の覇道もこれに極まることよ」
「はっ、さすが閣下です。ここまで苛烈なこと、誰も成し得ません。私も恐怖を覚えます」
「そうだな。それにやはり質が良ければ、それ程物量自体は重要ではない。ビグザムの戦闘力を見てそう感じた」
「今の本隊の戦力を重要視しないということですか・・・」
「そうだ。貴様とアクシズからの同志とフロンタルの技術。フロンタルがよもやキシリアから離反するとは期待してはいなかった。奴の底がよく見えない。使えるうちは私も利用しよう。元より奴も利用しているようだがな」
「閣下・・・では、そのうちフロンタルを消しますか?」
ギレンはシャリアの言に首を振った。
「いや、奴は派閥を持たぬ。ジオンの中ではさほど危険ではないだろう。奴は何やら奇妙な箱の製作・研究に努めているようだ」
「奇妙な箱?」
「ああ、人の思念が宇宙を破壊すると。馬鹿げた話だ。呪い殺せるものなら、当の昔に私の野望も
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