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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第210話 救えた命
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できるようなモノじゃないんだけどね」

 死神が、いたのはアメリカからであり、追いかける事は非常に困難なのだ。国際手配をし、向こう側の警察にも今回の件を連絡して、共同捜査を依頼しようとしているのだが、まずはこちら側の全容を明らかにさせてからとなっているのだ。

 だが、薄々は判った気がした。……単純ではない、と言う事を。ただ、あの世界に囚われていた一般人(・・・)ではない、と言う事を。

「……ん。大体は 訊いた話と代わりは無かったか」
 
 隼人は、何か少しでも進展があるか? と思って菊岡に訊いたのだが、やはり昨日今日で判る程単純ではないと言う事だろう、と判断をしていた。

「今後の菊岡サンの捜査に期待するな」
「同感だな」

 腕を組んで、そう断言するのは 隼人と和人の2人。詩乃は話を聞きつつも、丁度ウェイターが華奢なワゴンに載せて戻ってきて、並べてくれた高級デザート類を口に運んでいた。

 当初は、食欲はあまりあるとは言えなかったが、菊岡が手振りで勧める事もあり、この位のケーキであれば、問題ないとしていた。つややかな赤いソースが添えられた乳白色の矩形の一端。チーズをさらに濃縮したかのような密度ある味が広がって……、その割には下の上で滑らかに溶けさって驚かされる。レシピが知りたい、と一瞬思った詩乃だったが 訊いても教えてくれる訳無いだろうと、諦めた。

 つい夢中で半分ほど食べてしまってから、フォークを置いて、紅茶のカップを持ち上げる。橘の香りが仄かに漂う熱い液体を口に含むと、心の奥の凝り固まった部分が少しずつだが、ほぐれていくような感じがした。

「……美味しいです」

 詩乃がそう呟くと、菊岡は嬉しそうに笑い言った。

「美味しいものはもっと楽しい話をしながら食べたいけどね。でも、それはまた今度付き合ってください」
「は、はぁ……」

 詩乃が軽く会釈をした後だ。モンブランを口にしていた和人と、カモミールの紅茶を口に運んでいた隼人が笑いを含んだ声で茶々を入れた。

「止めといたほうがいいぜ。何せ、この男の《楽しい話》は、クサいかキモいか、そのどちらかだからな」
「いや、キリト。クサいの前に《面倒》をつけた方が良いだろう。……大体がそう言う感じだし」

 2人の間髪入れずの返答に、何度目か判らないが、思わず噴いてしまう菊岡。

「し、心外だなぁ。東南アジア、食べ歩きの話とか、結構自信があるんだけど……、ま その前に事件の話をもうちょっとだね」

 菊岡は、傍らのビジネスバッグから極薄型のタブレットPCを取り出し、画面をみせながら続けた。

 今回の事件、《死銃》事件に関する全てを知りたかった気持ちは詩乃にも勿論ある。……多分だが、自分の中の何処かでは まだ 当事者である新川恭二
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