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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第210話 救えた命
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との戦いの時。何よりも早くに動けたのは、レイナが手を握ってくれたから。だから 反応する事が出来た。……積み上げてきたあの世界。あの二年間があったからこそ、だ」
「ははは。同じく。死銃との最後の戦い。銃と剣を2つ同時に使えたのは、アスナの手だったと思うよ。それもこれも、全部あの世界から、だったんだ」

 其々が己の手を見ながらそう言っていた。



――手は、握るためにある。誰かと。



 詩乃は、あの時の言葉が鮮明に蘇ってきた。その温もりは力と勇気をくれる。例外なんてないんだということが判ったから。

「……なら、わたしがへカートを撃てたのは、リュウキのおかげ、だったって事になるわね。うん。あの時、私を助けてくれたから」
「……そう、だったら良いな。シノン自身の力だ、とは思うんだが、それでも。誰かの力になれたなら……良かったよ」

 隼人はそう言って詩乃に笑いかけた。
 折角、色々と説明をして 納得気味だったのだが、またまた 頬を膨らませそうになるのは、玲奈だ。

「むー……」
「はは。良いじゃない。状況を考えたらさ? レイ?」
「えっ、わ、わたしは別に……」
「ほんと、可愛いんだからっ♪」
「わっ も、もー リズさんっ!!」

 ぐりぐり〜と抱きしめる里香。何やら百合の香りがするのだが、勿論そんな事誰も言わない。と言うより いつも通りの光景。あまり、慣れていないのは 詩乃だけだ。


 そして、会話を重ね、内容はアバター名へと戻った。

「……ステルベン。どういう意味でつけたのかな。病院用語で死ぬ事、なんて……」

 詩乃の呟きを訊いた和人は口を開いた。

「医者である父親への反発、かもしれないかな。――と言うより、そんな簡単に想像できる理由じゃないと思うけど」

 でも、それを訊いた明日奈ははっきりと、しっかりとした声で言った。

「VRMMOのキャラクターネームに、名前以上の意味を探そうとしないほうがいいわ。気づくことより、見失う事がきっと多いから」
「うん。だって、その世界では 自分の名前になるんだからね? 他の人の名前も深く考えるのって、あまり良い事じゃないって思うから」

 玲奈も続く形でそういった。
 それを訊いた里香が笑顔で応じる。

「おー、流石姉妹! 揃って本名をキャラネームにしてるヒトが言うと、流石説得力が違うね〜」
「もうっ!」
「リズさんっ!」

 すかさず明日奈が、肘撃ちを 玲奈が指さきで、脇腹を突っつく。そして、大げさに痛がる里香。そのやりとりに詩乃がいつしかほほ笑みを浮かべていると、不意に明日奈がまっすぐと詩乃を見た。

「あの……、朝田さん」
「は、はい」
「わたしがこんな事を言うのも変かもしれないけど……、ごめんなさい
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