暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第210話 救えた命
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か細く 弱々しい存在だった詩乃。そして、仮想世界ででは、獰猛であり《冥界を司る女神》と言う異名を持つ愛銃(へカート)を使いこなす女兵士だった。どう考えても、《詩乃=シノン》だとは思えない。

 だけど、隼人は違ったんだ。

 向こうでも、こっちでも……変わらない。彼は彼のままだった。強い意志を持って、自分の弱さも認めて。ただただ、只管に前を見続けていた。

 ……ただ、唯一違う事があるとすれば、それは容姿だ。

「……でも、ほんとに似た者同士……かな」

 詩乃は、隼人の背中 ライダースジャケットの背中の部分、ぴっちりと身体にフィットしていて摘みにくかったが、それでも出来ない事はなく、親指と人差し指を使って きゅっ と軽く引っ張った。
 
 彼の背中……隼人の背中を追いかけている、と言っていた、あの世界ででのもう1人の仲間であるキリト、……桐ヶ谷和人である。

 当初こそ、騙された感が全く拭えずイメージを払拭する事が出来なかったが、それでも あの世界で戦い続けて、真実をしった後はもう、認識は勿論変わっていた。……隼人と同じ地獄とも呼べる場所から生還を果たし、そして GGOの世界ででも、嘗ての世界の闇と対峙、打ち勝つ事が出来たのだから。
 ただ、やはり 隼人の方が 何処か大人染みている印象が強く、和人の方は子供。……悪戯心をまだ持ち合わせている少年だ。だからこそ、鼻につく様な言動があったんだと、今であれば冷静に考えられる。……そんな和人を一蹴し、ツッコミを入れる隼人の掛け合いも絶妙だった、と感じたのはまた別の話だ。

「ん? どうかしたか?」
「んーん。……何でもないよ」

 隼人は、詩乃の独り言がヘルメット越しではあるが僅かに耳に届いていた様だ。でも、詩乃は首を振って何も無い、と言っていたから 軽く隼人も頷き。

「判った。そろそろ信号が代わる。……しっかり捕まっておけよ」
「………ッッ!」

 隼人のその言葉を聞いて、詩乃は考えまい、考えまい、としていた努力も軽く霧散してしまった。バイクを乗っている最中も、しっかりと背中を抱きしめていたのだ。考えれば考える程、意識してしまって 頬が赤くなってしまった。でも、それでも平常心を保とうと、今日の出来事の弁明等で頭の中をいっぱいにしていたのだ。


――……隼人との関係を明日、学校でどう話せば良いか? これから行く場所での関係者に 何を言えば良いか?

 
 それらも正直な所、得意ではない。と言うより初めての事だらけだったから、頭を悩ます事案だ。それと相余って 走行中に身体に吹き付ける冬の風。……それらで、色々と冷ましてもらっていたのに。

「……………もうっ」

 詩乃は、観念した様に 隼人の背中に腕を回した。
 丁度、横断歩道の青が点滅し
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