第32話 決戦 鳥羽伏見
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
旧幕府軍1万5千に対して新政府軍の兵力は5000にしか満たなかった。
圧倒的な兵力の差。だが、旧幕府軍はその兵力を活かせず、また、新政府軍の武器・弾薬の前になすすべもなく倒されていった。
そして、もう一つの要因があった。
黒い馬にまたがり着ている服はまるで戦場に似合わない着流しの着物。
武器は何も持たず無手にして最強。
銃弾にもひるまない。いや、当たらないのだ。
常人ならハチの巣にされてもおかしくはない状態なのにその男には当たらないのだ。
その姿、まさに鬼神。いや、まるで炎の壁に守られているような様は不動明王のようであった。
その信じられない光景に旧幕府軍は怯えた。そして、次々と倒されて行った。
ある者は腹に風穴を開けられ、ある者は首を飛ばされ、そしてある者は全身ばらばらにされた。
それも拳と手刀のみで。
その男の名は、高杉晋作。
そう、武市瑞山の術・魔界転生で蘇った魔人として蘇った一人。
高杉軍は鳥羽で新政府軍の勝利を見ることなく伏見へ向かった。
狂笑と共に黒い馬が伏見で戦闘を繰り広げていた旧幕府軍へ突っ込もうとしていた。
「なんだ?あの馬鹿は。打て、打て」
一斉にその男へ旧幕府軍の砲撃が始まった。が、やはり、動じることなく突っ込んでくる。
「高杉晋作、ただいま参上!!」
馬より離れ高く飛び上がると拳を地面へと叩きつけた。
地面は爆弾が落ちたかのように炸裂音と共に爆風が鉄砲隊に襲いかかった。
「な、なんて奴」
鉄砲隊を指揮していた隊長は煙を払うように手をばたつかせたが、その爆炎から悲鳴が聞こえてくるのを聞いた。
「フフフ、死にたい奴から前でろ」
爆煙の中から一人の人影が現れた。
鉄砲隊の後方で待機していた新撰組もまたその爆煙に巻き込まれてはいたが、土方の指示で浮き足立つことはなかった。
「としさん、いったい何が起きたんだ?」
近藤は煙を払いながら言った。
「わからない。大砲でも撃ち込まれたかなんかだろう?が、その前に男が一人特攻してきたようにみえたが」
土方は冷静だった。
「じゃぁ、その男が爆弾を持って突っ込んできたと?」
近藤は人知を超えた攻撃を新政府軍はするのかと思い震えた。
その時、会津藩の者が血まみれになって逃げてくるのをみた。
「おい、どうした?何があった?」
近藤は大声を上げ、その藩士を呼び止め、捕まえた。
「そ、そんな馬鹿な事ないんだ。そんな馬鹿な事」
藩士はすっかりおびえきっていた。
「しっかりしろ!!何があった?」
土方はその藩士に強烈な平手をくらわせ胸倉をつかみ引き寄せた。
「長州の高杉が、高杉が生きているわけない。奴は化け物だ」
目には涙をいっぱいに溜め藩士は答えた。
「長州の高杉だと!!」
近藤は土方を見つめた。
「高杉、晋作か」
土方はぽ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ