第10話「ちょうたつ」
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奴らを遮るように打ち付けた机の板を見て俺はそう言う。
「...そろそろ材料も尽きてきたな...。」
机の板自体は結構あったが、既にだいぶ使っている。...おかげで余程じゃない限り壊れなさそうになってきたけど。
「さて、戻るか。」
だいぶ時間を使ったし、俺は部室に戻る事にする。
「ふぃー...って由紀!?なんでびしょ濡れ!?」
部室前まで戻ってくると、ちょうど由紀が戻ってきた。...なぜがびしょ濡れで。
「これ?屋上で水遊び。」
「それで風邪引くから着替えてこいって言われたのか。」
「えへー、よくわかったね。その通りだよ。」
屋上で何やってんだか...。
「俺は部室にいるから、早く着替えてこいよー。」
「はーい。」
由紀は返事をして放送室へと入っていく。
「...まったく。」
能天気だなぁ...。俺たちは現実に苦しめられているというのに。
「...ま、由紀がああしているからこそ、俺たちはこの現実と戦える。」
助け、助けられる。由紀は支えられているように見えて俺たちの心を支えてくれている。
ただ、それだけの事だ。
「.....肝試し?」
由紀が水遊びをしてから二日後、いきなり由紀が肝試しをやろうと言い出した。
「よくない?夜の学校でハラハラドキドキだよ!」
「いきなり何を言い出すかと思えば...。」
「あれ?くるみちゃん、もしかしてお化け苦手?」
ププーッと胡桃を指差して笑う由紀。
「ちげーよ!」
「大丈夫だよ!私と特訓すればお化けなんて...。」
「おーまーえーなー!」
由紀の襟首を持ち上げて怒る胡桃。...制服が伸びるぞ...。
「あら、いいじゃない。」
「っ!?」
「でしょ!」
悠里がいいといった事に胡桃は驚く。当然だ。由紀を危険に晒すかもしれないからな。
「そうと決まったら準備ね。」
「手伝うよ!」
「由紀ちゃんはめぐねえに伝えておいてくれる?私達は私達で準備するから。」
「わかったー!」
由紀は元気よく返事をし、今は見回りをしている先生の所へ走っていった。
「...いいのか?」
「由紀ちゃんの事?大丈夫よ。そうよね?」
「...まぁ、二階までなら壊滅させておいたはずだからな...。」
だが、確実ではない。もしかしたら見落としている。もしくはまた昇ってきている奴がいるかもしれない。
「...とりあえず、気を付ければ大丈夫よ。」
「そうだといいんだが...。」
皆やはり由紀が心配なんだな。
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