参ノ巻
抹の恋?
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。やることは当然一つ。盗み聞きだ。ほ、ほら、抹がちゃんと喋れてるか確認もしなきゃいけないじゃない…?決して、デバガメとか、そういうんじゃないのよ。オホホ、ホ…。
「朝餉をお持ちいたしました」
「ありがとうございます。庵儒殿にはお気遣い無くと伝えていたのですが。そちらにお願いします」
「はい」
…シーン。その文字が見えるほど部屋の中は静寂に包まれた。無言、無言、ひたすら、無言。
あああ、この沈黙にやきもきしてしまうのはあたしだけかしらっ?
まぁつぅ〜ガンバレっ!
高彬ァーあんたはそれでも男かっ!女に恥、かかせるんじゃないっ!なんか話題振ってあげなさいよ、話題!
あたしは拳を振り上げて声なき声で抹を応援する。
「っ、あっ、あの…!」
気まずい沈黙を破るように、抹の掠れた声が聞こえた。
わあ、抹からいった!すごい!
あたしはぐっと両手を握りしめた。
「はい。何でしょうか」
「ど、ど、どっどっどっど、どうやって鍛えてらっしゃるんですか!?」
あたしはガン!と目の前の障子に頭をぶつけそうになった。ええええええええ!そ、そこ!?いきなりそこくる!?意外と積極的なのかしら抹…。いや、いいんですけども!ただいくら抹が美人だとはいえ、ほぼ初対面でそんなこと言われたら面食らってしまう人も多いのではないだろうか…。まずは天気とか季節とか当たり障り無いあたりからいけばいいのに…。
「ええ、と…そうですね、普通ですよ。刀をひたすら振っているだけです」
高彬はやっぱり戸惑った様子で、でも真面目に受け答えする。
あわわわわわわ、抹ぅ〜…。
「刀を振るだけで、そのように鍛えることができるのですか?見たところ、お侍様のお体に余計な筋肉はないように思われます」
「勿論、いつも持ち歩く刀と、鍛錬用の刀は違います。長さや重量を様々に変えておりますので」
「そうですよね…。私も、鍛えれば貴方様のようになれますか」
意を決したように言った抹の言葉は驚くほど堅かった。
「…ええ、きっと」
「…ありがとうございます」
部屋から出てきた抹を、あたしはすぐさまふん捕まえると、すささささと人攫い宜しく連れ去った。
「まずは、話できたわね。よく自分から声かけたわ。あんたがそれだけのことを自主的にできたなんて、本当に凄いと思う」
「あ、ありがとうございます…」
角部屋に連れ込んでぴたりと障子を閉じると、
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