暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
Girls over
[2/5]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
樹木の幹についた、ナイフでできた横一文字の傷を見つけてリラは急制動をかけた。
森の地面はフィールド基部に薄く落ち葉が積もっているのと張り巡らされた根の凹凸のため、
転倒
(
タンブル
)
の危険性が常にある。まして夜間はその手の地形バッドステータスにかかる確率が増すのだが、幸いにもブーツ底部のスパイクはがっちりと仮想の床を掴み、小柄な身体に真逆のベクトルを発生させた。
目的の木の根元辺り。うねうねと不規則に絡み合う太い根っこと、その上に薄く降り積もった葉のおかげでうまいこと見えなくなっている空洞にリラは腕を突っ込んだ。
うんうんと唸りながらもすぐさま引っこ抜かれた手には、円筒形の鉄製の物体が引っかかっていた。
長さはおよそ一メートルほど。本当にただの筒で中身は空洞であり、その直径は十センチくらい。中ほどに背負えるよう
負い紐
(
スリング
)
が据えられているが、それ以外は冷たい金属特有のの鈍い輝きを宿している。
「……《
吸血鬼
(
ヴァンピール
)
》」
放たれたミナの呟きに無言でうなずいたリラは、続いて洞穴の中からさらにもう一つの円筒と小さな箱にカメラのレンズを無理矢理くっつけたようなもの、がっしりとした三脚、そしてそれらを繋ぐ接続部品を取り出した。どうやら見た目からは分からないが、この洞穴、相当中が広がっているようだ。これでプレイヤーがハマったら完全に運営直々の
罠
(
トラップ
)
である。
そして最後に取り出されたのは、まるで戦車の砲弾を小さくして引き伸ばしたような代物だった。ただ唯一気になるところは、先端部から太い棒が突き出し、その先端には更に膨らんでいることくらいか。
夜の帝王
(
ナイトウォーカー
)
の異名を持つそれの正式名称は、ロシア語の携帯式対戦車擲弾発射器の頭文字をとった《RPG》シリーズ、《RPG−29》。
俗に言う、対戦車ロケットランチャーである。
リラの主武器であるブルーパーのカテゴリー、グレネードランチャーとロケットランチャーの違いは諸々あるが、その中でも一番の違いは、発射する時の差異だろう。
要するに、グレネードランチャーが従来の銃火器と同じように、ハンマーで弾丸のケツをブッ叩くことで推進能力を与えているのに対し、ロケットランチャーは弾頭そのものに推進能力が備わっているのだ。
そして、その弾頭を歩兵の手で運用できるよう開発されたRPGシリーズの中でも、この《吸血鬼》は一種伝説的な成果を過去に成し遂げたことがある機種である。
第三世代型
主力戦車
(
MBT
)
の真正面撃破。
対戦車兵器と銘打っているというのにこの戦果は変だろう、と思うだろうか。
ところが現代戦車のほとんどは、他ならないその装甲の硬さゆえに対戦車兵器をほとんど受け付けていない。割合装甲の薄い側面部ならともかく、真正面か
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ