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コインの知らせ
4部分:第四章
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みを入れる。
「まあいいさ。それは言いっこなしでな」
「今日は有り難うな」
「ああ。御礼はビックマックでな」
「高いな」
 ビックマックと聞いて今度は向こうが苦笑いを浮かべる。学生らしい話だった。
「それ位いいだろ。助っ人なんだからな」
「それもそうか」
「また何かあったら呼んでくれ。それじゃあな」
「ああ、またな」 
 挨拶もそこそこに合気道の場に向かう。流石に掛け持ちは辛く疲れている。言い換えれば力が抜けた。
 合気道の道場に着くと。もう合気道部員達は準備体操を終えていた。そうして道場にやって来た彼に声をかけるのだった。既に彼は汗をかいて結構疲れていた。
「また随分と汗をかいてるな」
「ああ」
 合気道部員の一人の言葉に応える。その汗は剣道の時に面の下に着けていた手拭いで拭く。そうしながら話をするのであった。
「何とか試合は頑張るからな」
「ああ、それはいいんだ」
 だがそれはいいと言われた。
「!?どうしてだよ」
「合気道だぜ」
 そこを強調される。
「だからな。別にそれはな」
「話がよくわからないんだけれど」
「合気道は攻めないんだよ」
 今度はこう言われた。
「だからな。別に力はいらないしな」
「そうだったのか」
 はじめて聞いた。実は合気道の中身については全く知らなかったのだ。
「だから。かえっていいかもな。型だけだし」
「型だけか」
 それを聞くと心持ちが楽になった。それならば問題はなかった。
「そうだよ。それはいけるよな」
「まあ型だけならな」
 問題はなかった。それだけの体力は十二分にある。何しろ剣道部の練習は抜けてきたからだ。
「いけるぜ」
「よし、じゃあやってくれ」
 あらためて頼まれる。
「期待しているぜ。何しろ向こうの部員がかなり多くてな」
「それだけこちらも数が必要だったんだな」
「そういうことさ。それじゃあな」
「ああ、任せてくれよ」
 そんな話をしながら合気道の型に参加する。程よく力が抜けて楽しい時間を過ごせることができた。合気道の型も終わると彼はこれまでにない満足感を感じていた。
「いやあ、よかった」
「そんなにか」
「二つ出ただろ」
 まずは掛け持ちのことについて言及する。
「それでな。力も抜けたし」
「それだけじゃないんだな」
「剣道も合気道もいいものだよな」
 それがわかったことが大きかった。それにより精神的にも満足感を得ていたのだ。それは顔にも出ていて汗の中でにこやかな顔になっていた。
「はじめてやってみたけれどな」
「よかったか」
「正直力が抜けていたしな」
 それが大きいことが自分でもわかっていた。
「かえって。よかったよ」
「そうか」
「これで力が有り余っていたらわからなかっただろうな」
 そのうえ
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