暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第九十二話
[3/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
……何ら恥ずかしいことをしておらずとも。

 結果的に二対一になってしまったとはいえ、決して手の抜ける相手ではない。そう判断したリーファは、アイテムストレージにしまい込んでいた一番の愛剣を出し、隣に立つルクスも同様に――というところで、ルクスがハッとした表情をしていたことに気づく。

「ルクスさん、どうしたの?」

「いや、その……」

 困ったように笑みを浮かべるルクスの手に握られているのは、シルフの初期装備のなまくら片手剣。リーファには既に懐かしさを感じさせるものではあるが、それを何故ルクスが持っているのか。

「……あ」

「ルクスさんルクスさん!」

 ……そう言えば、ルクスはSAOのデータをコンバートした新キャラであり、前のアバターである《クロ》が持っていた黒白の剣は受け継いでいない。すっかりそれを忘れており……さてどうするか、とリーファとルクスで揃って冷や汗を垂らしていると、シリカが二本の剣を持って駆け寄ってきていた。

「これ、リズさんから! あとこっちのちょっと短いのは、わたしの予備武器です!」

 同じくルクスの武器が初期装備だということを思い出した二人から、ルクスへの武器の譲渡が行われる。シリカの予備の短剣、『リズベット武具店冬の新作』――などと刻まれた片手剣。それぞれにつけられた装飾から二人の好みを感じながら、ルクスはずっしりと重いそれらを握る。

「……うん、大丈夫。ありがとう、シリカ。リズにもそう伝えておいてくれ」

「はい! 頑張ってくださいね!」

 そう言い残してシリカは去っていき、リズはリズで遠巻きからガッツポーズをしていた。そんな様子を微笑ましく思いながら、ルクスとリーファは待たせてしまっている、対戦相手であるインプの少女――ユウキへと向き直った。

「終わった? それじゃあ始めようか!」

 チューブトップの白色の水着を着たユウキは、二対一という状況にもかかわらず、特に動じることもなく飄々とした様子を見せる。その分かりきった腕前に反して、武器はあまり業物には見えないが――とリーファが観察していると、それを感じたユウキが微笑んだ。

「あ、この剣気になる? ボクたちの仲間のレプラコーンが作ったんだけど、あんまりいい武器じゃなくって。あ、そうだ! ボクが勝ったら、腕のいい鍛冶屋紹介してよ!」

「え、ま、まあいいけど……」

 コロコロと変わる明るい表情に、緊張しているのはこちらだけ、とリーファは呆気に取られてしまう。そんな間にもデュエル開始の合図は鳴り響き、リーファより早くルクスが前に出た。

「私が先に行くよ、リーファ。二対一でいいとは言われても、まさか挟み撃ちとかは気分が悪いだろう?」

 確かにそうだけど――という答えを聞く前に、ル
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ