7.『愛情』
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
きる」
「なるほど……。それで、彼の能力は一体」
そう尋ねると、紫はやや目つきを鋭くして答えた。
「絶対と相対を司る程度の能力、ね」
「っ!」
「運命の絶対を操作することで攻撃は当たらず、力の絶対を操作することで中級妖怪といえど一瞬にして消し去った。数週間前に一回、今日のこれで二回、絶対と相対の境界が弄られていたもの。気付かないわけないわ」
「……」
藍はただ、目をぱちくりさせるだけだった。
しかし紫は余裕の表情で、扇子を開く。
「ただ、相対の扱い方は本能的にもわかっていないみたいだし、なにせ神力も比較的弱い。騒ぎになったところですぐに押さえつけられるわね。判定は白、というところかしら?」
つまりどういうことか。
紫は東に隠された能力をいち早く見抜き、試したのだ。
そして場合によっては抹殺することも考えられたが、幻想郷に大きな影響が出るとは考えられにくいと判断したため、殺すことも封じることもしないのである。
「……藍、大至急で若木東と関わりのあるものすべて調べてきなさい」
「御意」
ボゥンと藍が姿を消すと、紫は妖しい笑みをこぼした。
「面白い人間を連れてきたわね、幻想郷は。……いいえ、妖怪結社とやらは」
紫は東の顔を見つめて、再び“境界”を呼び出した。
ちゅんちゅんと鳥がさえずる朝。
レミリアはどこか元気のない瞳をしていた。通り過ぎる妖精メイドたちがそれを見て、いつも通り、通り過ぎていく。どうやらそれに気付いていないようだ。
東がいた部屋の扉の前に立つ。その扉は、不思議と重そうに思えた。
「……東ぁ、いるかしら。まぁ、そんなわけ……」
いた。
掛布団も何もなく、絨毯で大の字になって、東は眠っていた。
「っ!東ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ひゃいぃ!?」
吸血鬼の力強い腕力でぐっと抱き寄せられ、東は驚いて目を開いた。
「……東、服が汚れているじゃないか。一体何があったのだ」
「え?あれ……なんでだろ」
服は狼の妖怪の返り血でシミがいくつもできており、一刻も早く洗濯しなければならない状態だったが、レミリアにとってはどうでもいいことだった。
「……レミリアさん、あったかい」
「ふふ……」
レミリアは、自分より短命で壊れやすい儚き少年を、ただぎゅっと抱きしめた。
東は、無意識のうちに愛情を感じていた。
妹以外から受けたことのない、優しく温かい愛情。
?おまけっ!
兄妹二人のキャラデザインです
<i4846|24322>
<i4847|24322>
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ