異端が与える理不尽
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りはいいが猪々子と一緒に寝る意味は――――」
「あたいはいつだって準備“おっけぇ”だぜ!」
布団の中から上がる声。上げられた手のブイサインが元気よく応えた。
謀られた、と思った時にはもう遅い。此処は荀攸という軍師の手の中だった。
「なんでこうなるんだ……」
「ふんだ、自業自得よ」
――ちょっとくらい役得を貰っても、いいよね? ごめん、二人共。
雛里と月に心の中で謝りながら、詠は跳ねる心臓を抑えるのに必死である。我ながら大胆なことをした。
きゅっと袖を握る詠が彼をじっと見上げた。
「断らないで? だってあんた、最近なんか変だもん」
「……そうかね」
「そうそう、さっきも悪モノになり切ってたし、アニキがホントにおかしくなっちゃいそうに見える。昔してたことばっかりじゃなくて新しいことしてみるのもいいんじゃねぇの? それにあたい、友達と布団一緒にするのなんて子供の時以来だから楽しみなんだっ」
上半身を起こしてニッと笑う彼女を見て毒気が抜けた。
詠の不安も分かる。彼自身も、何処かおかしいとは感じている。
ため息を一つ。もう諦めた。流されるのは嫌だが、自分が何もしなければいいだけなのだから、と。
「ほらアニキ、来いよっ」
ぽんぽんと自分の隣を叩く彼女を見て、彼は小さく噴き出した。
「クク、ベッドに女を誘う男じゃあるまいし」
「はーやーくー! あたいもう眠いんだってば!」
「しゃあなしだぞ?」
「へへっ、詠はアニキの隣な!」
「ぅ……分かってるわよ!」
「両手に華で嬉しいだろー?」
「はいはい、嬉しい嬉しい」
「うっわ、てきとーすぎ」
「ちょ、ちょっと詰めて猪々子。なんかいつもより近い」
「限界だから無理ぃ。諦めてくっついて寝ればいいんだ」
「ぅ、ぅぅ〜〜〜〜〜っ」
どっちが自業自得か分からないな……なんて考えながら、ゆっくりと目を瞑った彼の心は僅かに暖かくなった。
こんなことをしていてもいいのかと沈みそうになる心もある。けれども自分の中で渦巻く何かが、彼女達と過ごす時間のおかげで溢れ出ないで済む気がした。
明日からが本番だ、と二人に気付かれずに心を引き締めて……少女達よりも早くまどろみの中に意識を溶かして行った。
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