オペラセリアのエピローグ 1
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くても不思議な光景だわ。
「貴様が死んだらウェルスは生きる理由や意味を失くすのかと尋いてみた。コーネリアの答えは、死ぬんだから生きてるワケがないだろ、だ」
「………………………………」
『だから、ウェルスを殺したの?』
とは、今までの流れからして、尋くまでもない気がする。
「なによ、それ」
もう本当に、笑うしかない。
ウェルスとコーネリアは、最後まで夫婦だった。
多分、私達四人が揃っていた川沿いで、二人は約束していたんだ。
死ぬ時は一緒に、って。
二人が、何かと話題にしていた子供達を想っていなかった筈はない。
二人の表情は、最後の一瞬まで諦めてなかった。
それでも死が訪れるなら、それも二人で分かち合おうと。
「うらやましい生き方。やっぱり二人は私の理想だわ。私には眩しすぎる」
「死にたいのか?」
「いいえ」
露骨に曇ったレゾネクトの顔を見上げ、大袈裟な勢いで首を振る。
「二人みたいにはなれないから、理想なのよ」
「そうか」
今度は嬉しそうに、ふわりと微笑む。
アルフリード達の死が、この男性をここまで変えるなんてね。
こうして直視していても、まだ信じられないわ。
私の内に巣くった憎しみも殺意も、簡単には払拭できないし。
いつか忘れる日が来るとか、そんな風には全然思えない。
でも。
「さようなら、まだ何者でもないレゾネクト。良い旅を」
私は今も生きている。
アルフの願いを抱いて、これからも笑いながら生きていく。
「さようなら、かつて聖天女と呼ばれていた巫マリア。穏やかな日々を」
貴方も生きていく。
アルフの遺志を受け継ぎ、取り戻せない想いに苦しみながら生きていく。
今度はアリアを哀しませないでちょうだいね。
この先、貴方に関わることで泣かせたら、問答無用で張り倒すから。
覚悟してなさい。
さようなら、大好きだった人達。
これからのことは、何一つ、確かな約束などできないけれど。
私は私で、進めるだけ進んでみよう。
銀製のブローチを胸元で握りしめてから、ふと見上げて、気付く。
ああ、なんて綺麗。
太陽が半分欠けた空に、陽光を映した月と星がうっすらと輝きだした。
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