オペラセリアのエピローグ 1
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またロザリアに甘えようとしたら、全力で止めてあげて。切りが無いから」
「承知しました」
くすくすと笑うクロスツェルに、私も笑みが溢れる。
やっぱり、ベゼドラよりもクロスツェルのほうが頼りになるわ。彼が生きている間はそんなに心配する必要無さそうね。
問題はその後だけど……此処まで追い掛けて辿り着いた彼らだもの。絶対、悲しいだけの終わりにはさせない。
私はロザリアの母親として、二人……いいえ、三人を信じよう。
「フィレス様。突然巻き込んでしまって、すみませんでした。ご協力に深く感謝します」
ティーを落とさないように頭を下げると、女神は「いえ。お役に立てたなら良かったです」と笑ってくれた。
「地元こそ飛び出しましたが、仕事の本質からは大きく外れてませんし。あ……でも、師範とアーレストさんには一度ご挨拶していただけるとありがたいです。お世話になった方々ですし、当事者でないと説明が難しい詳細も報告したいので」
「アーレスト!? アーレストってまさか、神父のアーレストですか!?」
分かりましたと答えるつもりが、クロスツェルの激しく動揺した声に阻まれてしまった。
「はい。私のこの力はアーレストさんに覚醒させていただいた物なのです。そう言えば、お二人はご友人でしたね」
「ええ、まぁ……友人というか何というか……そう、ですか。アーレストが……」
……大丈夫かしら?
疑惑と焦燥が混じった顔色は、膝を突いていたさっきよりも、数倍青白い。
「……では、泉へ向かう途中で伺います。フィレス様もお戻りになられるなら、とりあえずお送りしますが。クロスツェルも行く?」
「いえ。私はバーデルに戻らないと。渡国や入街許可の問題がありますので。」
間髪を容れずに右手を上げてスパッと断るクロスツェル。
空間を移動して行くのだから、立ち入り許可は影響しないって解っている筈。
……よほどアーレストさんに会いたくないのね……。
「私はそうしてもらえると助かりますが……少々お時間を頂けますか? 考えなければいけない事がありますので」
「急ぎではありませんから」
「ありがとうございます」
姿勢良く一礼したフィレス様は、両手を組んで「うーん……」と唸り始める。
元は人間だったフィレス様。
赤子時のアリアと同様に翼や力を封印しても、以前の暮らしはよく続いて十数年程度だろう。
他者に殺されるまでは無限に近い歳月を生き続けるし、一定以上は老化しないから、今の人間世界では定住するのも難しい。
とは言え、いきなり姿を消しても様々な問題が残る。
もしかしたら彼女をこそ神々の世界へ送り出すべきなのかも知れないけど、それを決めるのは私ではないし、総ての可能性を提示しても、最終的に選ぶのは彼女自身だ。
ゆっくりしっ
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