オペラセリアのエピローグ 1
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を受けて、クロスツェルから少し離れた所を飛んでいたリースリンデが嬉しそうに寄ってくる。
でも、やっぱりゴールデンドラゴンは怖いのね。
ちょっとだけ引き攣った硬い笑顔が、失礼かもだけど微笑ましい。
「ありがとう。では、お言葉に甘えて、しばらくの間はお世話になるわね」
「にゃあ!」
ティーを左肩に、リースリンデを右肩に招いて、それぞれの頭を撫でる。
それからもう一度、辺りをゆっくりと見渡した。
数千年の時間を経て再生した森。ただ転がり朽ちるだけの、瓦礫の山。
恋に夢見る幼い巫が育った家の跡地。
友人とも、仕える者達とも、約束を果たせなかった神殿。
何もかもすべてを失くしたと思っていた私の目に映るのは、愛しい娘と、彼女を愛する人間の男性と、新しく正統なる女神。かつては宿敵同士だったゴールデンドラゴンと精霊。
そして、元魔王。
レゾネクトを、世界への干渉から退けた今。
本当なら、アリアを神々が眠る世界へと導いて、扉を閉めさせるべきだ。
私はその為に、この場所でずっと、彼女の訪れを待っていたのだから。
でもクロスツェルが言った通り、アリアにも私にも償うべきものがある。
本当に、彼女の気持ちや将来を思うのなら…………
「……違うわね。これは、償いを言い訳にした、私自身の願望だわ」
「にゃー……」
神々に対する、何度目かの重大な裏切り行為だとしても。
アリアの成長を、この目で見守りたい。
今度こそ傍に居て、貴女を護りたい。
もう二度と、一人きりにはさせたくない。
それが、私のわがまま。
だから。
「アリア。私は、ティーやリースリンデと一緒に、『水鏡の泉』へ行くわ。貴女達も、時々で良いから顔を見せにいらっしゃい」
私の本体をどこかの空間に封印してくれたアリアに歩み寄り。
精一杯、両腕を伸ばす。
こういう時だけは、低い背丈が憎いわね。
実の娘の肩すら抱き寄せられないなんて。
「…………はい。ありがとうございます、お母さん」
察してくれたアリアが、軽く膝を曲げて両腕を伸ばし。
ティーとリースリンデを潰さないように、私を抱きしめる。
この光景、第三者には、私とアリアが逆の立場に見えるんでしょうね。
アリアが母親で、私がアリアの娘で。
でも、良いわ。やっと会えたんだもの。
誰にどう見られるかなんて、気にしているだけ勿体ない。
アリアをきつく抱き返し、緩やかで柔らかくて繊細な細糸を撫でる。
髪質はアリアのほうが猫毛に近いけど、髪色は私の白金色とそっくりね。
わずかな刺激を含んだ甘さは、白百合の香りかしら?
信仰の象徴に選ぶだけあって、外見にも内側
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