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勝負服
4部分:第四章
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第四章

「動きやすいし涼しいし」
「着心地もいいんだ」
「そうなのね」
「そうよ。だから皆も着てみたらいいわよ」
 洋服の彼女達への言葉だ。
「アオザイもね」
「そうね。それじゃあ私達もね」
「着てみる?」
「そうしてみようか」
 こんな話をしてからだった。彼女達もアオザイを買ったり母親の箪笥から出したりして着てみた。するとであった。
 彼女達もだ。それぞれ。
「彼氏できたわよ」
「何か男連中の見る目が変わってきた?」
「そうよね、下手な洋服着るよりもね」
「いい感じよね」
「そうでしょ。アオザイ着てると皆見るのよね」
 今日もアオザイ姿のチュワンが笑顔で皆に話す。
「これがね」
「ううん、何でかしら」
「皆アオザイそんなに好きなのかしら」
「民族衣装だから?」
 女の子のうちの一人が言った。その彼女も皆もだ。今はそれぞれの色のアオザイを着ている。そしてお互いにアオザイを見合いながら話すのだった。
「だからかしら」
「それでかしら」
「ううん、っていうかね」
 しかしだった。ここでチュアンは言うのだった。
「これってね」
「アオザイは?」
「どうだっていうの?」
「スタイルがよく出るし」
 まずはそれだった。
「それにデザインがいいじゃない」
「それなの?」
「だからなの?」
「いいっていうの?」
「そうじゃないかしら」
 こう皆に話すのだった。
「それで男の子にも人気があるんじゃないかしら」
「それでなのかしら」
「スタイルも出てデザインもいい」
「確かにそうだし」
 まさにその通りだった。アオザイはそうした服だった。
 それは着てみて彼女達もわかることだった。それも実にだ。だからこその言葉だった。
「じゃあこうして着てもなのね」
「いいんだ」
「そうなの」
「でしょうね。私も最近になって気付いたし」
 他ならぬチュアン自身もだというのだ。このことをまた言うのだった。
「アオザイって実はそういういい服だったのよ」
「ううん、昔の服ってお洋服の相手にならないって思ったけれど」
「実は違った」
「そうだったのね」
「これが」
「そうなのよね。昔の服だってね」
 チュアンは自然と笑っていた。そうなっていた。
 それでだ。彼女はあらためてこう皆に話した。
「勝負服になるのよ」
「そうなのね」
「それもかなり強烈なね」
「凄い服になるんだ」
 こう話していくのだった。皆でだ。
「アオザイ恐るべしね」
「まさにね」
「これって」
 こんな話をしてだった。皆でそのアオザイを見ながらそのよさを実感するのだった。それはチュアンも然りだった。そして彼女はアオザイを着続けるのだった。それは他の皆も同じだった。その勝負服を。


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