Vivid編
外伝〜if/ライのたどり着いた世界がCEであったなら(前編)〜
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少しだけ続く。
その流れを断ち切ったのは、これまで黙って逃げていたシンであった。
「シン!戻りなさい!!」
父親の静止を振り切り、斜面を滑るようにシンは降りて行く。彼は妹の携帯を取りに行ったのだ。
「僕が行きます、三人は先に行ってください!」
全てを言い切る前にライの体はシンと同じにように斜面を下っていた。
そして、木の根元に引っかかっていた携帯をしゃがんで取ろうとしているシンに追いついた瞬間、ライの視界は光の奔流に塗りつぶされていた。
「「――――――――」」
咄嗟に動けたのは奇跡だろう。
ライはすぐ目前にいたシンを抱き寄せていた。
衝撃が体を貫く。受身を取ることができたのかは定かではないが、痛みを感じているということは生きてはいるのだろう。
身体の芯が揺さぶられ、視界がチカチカしている。耳も音をうまく拾えていない。そこまで自己分析ができると、先ほどの衝撃は自分たちの近くに流れ弾が着弾し、その爆発で巻き込まれたということを理解する。
蹲るようにしていた身体に喝を入れ、なんとか立ち上がる。幸い鼓膜も破れておらず、視界も回復して来ている。現にこちらに安否を伺う声と足音が近付いて来ている事も認識できている。
そこで気付く。
咄嗟に引き寄せたシンはどこにいる?
まだ完全に戻りきっていない視界を最大限活用して、辺りを見回す。するとすぐ近くにシンと思われる背中が見えた。
「シ――――――――え?」
そう、ライにはシンの背中が見えていた。
だから、すぐに近付いて彼の安否を確かめようとしたから、その背中の“向こう側”もすぐに見える。シンの目の前に何の光景が広がっているのかも。
つい先ほど走っていた林にはクレーターができている。着弾したのはビーム兵器であったのだろう。所々で生えていた木が炭化し、炭化せずとも部分的に燃えている木がなぎ倒されるようにして存在していた。
その木の内の一つ。やけに大きな木の下敷きになっている成人男性は一体ダレなのか。
(アレハ、ナンダ?)
少し視線をズラす。
すると今度はむき出しの岩に叩きつけられ、手足が人形のように折れ曲がっているダレかがいた。
視線を下げて、すぐ近くのクレーター付近を見る。
そこには片腕がちぎれ、胸から大量の赤い液体を垂れ流すダレかがいる。
頭のどこか冷静な部分が現実を正しく伝えてくる。
(ヤメロ)
すぐ目の前にいる三人が誰であるのかを。
(ヤメテクレ)
先程まで喋っていた、この世界での新しい家族の末路を。
「うあああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
喉を引き裂くような絶叫がライの足元から発せられる。そちらに視線を向けるとそこには
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