Vivid編
外伝〜if/ライのたどり着いた世界がCEであったなら(前編)〜
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とって兵士として育てられた子供は商品であり、あくまでモノ扱いなのだ。
「……お辛ければ、自分がデータを纏めますが」
「ありがとう――――でも、これは私の仕事よ。それにこれ以上貴方に負担を掛けるわけにはいかないわ」
ライなりの気遣いは空振りに終わる。
だが、その返答にライは若干申し訳なさを表情に出してしまっていた。それを見かねたのか、タリアはいつもの軍人らしい硬い表情を少しだけ崩しながら口を開いた。
「私が母親であることを気にしてくれているのかしら?」
「…………」
ライにはバツの悪い表情しかできなかった。それは図星であり、そして軍人である彼女に対して失礼であると分かっているからだ。
「そう…………本音を言えばこんな仕事はしたくもないし、こんなデータは見たくもないわ」
それは彼女の混じり気のない本音であった。
「でも、母親であるからこそ、こういうことから目を背けたくないの。軍人は今の世の中を守るために生きて、戦っている。だからこそ失った生命を背負う覚悟がいると私は考えているの。だからこれは、いまの世に存在する軍人……いえ、大人が背負うべきものなのよ」
ライはタリアの女性としての強さの一端を垣間見た気がした。そう感じられるほど、彼女の瞳には強い意思が宿っていたのだから。
「貴方の方こそ――――」
「え?」
「この間の戦闘に限らず、色々と負担が増えているようだけれど……無茶はしていないかしら?」
「あー……答えかねます」
目を逸らしながらそう答えるタリアは、普段は大人びているライの子供らしい一面を見て、少しだけ母親の顔をしていた。
――――――――――
『残る命散る命』
海上
黒煙が上がる。
海には撃墜された兵器から漏れたオイルやら何やらが混じり合い、海水はひどく濁っていく。そんな中でも殺し合いを続ける人間はやはり愚かなのかもしれない。
「ハイネ!ルナマリアとレイの抜けた穴を埋めてくれ!」
『あいよ!これじゃあどっちが上官か分からんな、まったく!』
愚痴を零すようなセリフであったが、ハイネはライの事を信用しているのか大人しくそれに従っていた。
「アスラン!いつまで拘っている!」
次に自機よりも高い位置でフリーダムと鬼ごっこをしている部隊長に通信を繋ぐ。だが、通信機から聞こえてきたのは、ライへの返答ですらなかった。
『オーブに帰れと言ったはずだ!今すぐ撤退しろ!』
もう一度怒鳴ろうとするが、どのみちアスランがフリーダムを押さえ込んでいることは好都合なためライは通信をそのままに放置することに決めた。
「シンはまだ、敵艦を叩いているのか?」
センサー類で状況
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