Vivid編
外伝〜if/ライのたどり着いた世界がCEであったなら(前編)〜
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声音。ベッドから上半身を起こし、女の子が出て行った扉に目を向けると両手に一個ずつマグカップを持った少年がいた。
その少年は一般的な男の子と比べ、どこか肌が白く、髪も普通の黒髪よりも深い黒色をしており、更に特徴的なのはルビーのような紅い瞳であった。
「あぁ、だいじょうぶ」
喉が乾いていたのか、掠れたような声が口から溢れた。
その男の子はその声を聞いて、手元のマグカップに視線を落とした。ちょっとだけ迷うような素振りを見せたが、先ほど女の子が座っていた椅子に腰掛けてから、手に持ったカップの片方をライの方に差し出した。
「えっと、ココアですけど……」
何と言って渡せばいいのか分からなかったのか、おずおずとその男の子はそう切り出した。そんな彼の反応に微笑ましいモノを感じながら、ライはそのカップを受け取る。
「ありがとぅ」
その際にやはり掠れた声しか出ないが、ちゃんとその言葉は伝えることができた。
何故なら、男の子の方が少しだけ誇らしげな顔をしていたのだから。
これが彼――――シン・アスカとライとの出会いであった。
以下ダイジェスト
オノゴロ島・撤退戦
ライは自身の境遇をアスカ夫妻に説明し、理解を得られ、家族の一員として向かい入れられた。そして、中立という立場に拘わるその島国――――オーブで、ライはこれまでと打って変わって穏やかな日常を噛み締める。
だが、戦争と言う日常はすぐそこまで迫っていた。
地球連合軍からのマスドライバー施設の接収要求。それが、宇宙に存在するコーディネイター国家、プラントを攻める為の連合軍のオーブ侵攻の目的であった。
オーブ政府はこれに対し、マスドライバー接収やそれ以外の連合側からの要求をすべて拒否、徹底抗戦の構えを取る。
しかし、島国であり国力に劣るオーブが劣勢となるのは当然の帰結であった。
そんな中、アスカ一家とライは避難の為に出される船に乗るために、島の林道を走っていた。
時折、林の上を飛行するモビルスーツや戦闘機が通りすぎ、その度に彼らは固まるようにして身を寄せ合い、流れ弾が来ない事を神に祈る。そういった事を繰り返していたために中々目的地である港には到着できないでいた。
舗装されていない、ほとんど獣道と言える林道を駆ける。
時折、転けそうになる女の子――――マユ・アスカを支えながらライは最後尾を走っていく。
そして、とうとう目的地である港が見えた瞬間、それは起こった。
「マユの携帯!」
彼女が叫んだと同時に全員の足が止まった。止まってしまった。
丘のような斜面に彼女は持っていた携帯を落としたらしい。落とした携帯を無視して進もうとするアスカ夫妻と取りに行こうとするマユ。遅々として進まない押し問答が
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