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魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第7話 彼の来た理由―前編
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●○●○●○●○
色の歪んだ世界の中で、先陣を務める少年――ラディオン・メイフィルスは、市街地と川の間に堤防のように盛られた土の丘の上から、川岸のスライム群を見下ろしていた。
その姿はスーパー銭湯から出たときのまま、手に
武装
(
デバイス
)
もなく、服装も変わりない。
ただ、一つだけおかしな点を挙げるとするなら、ズボンの右ポケットの妙な膨らみだろうか。
何を入れているのかは分からないが、それなりの大きさのある物らしく、ポケットの口から中身が出てこそいないものの、その膨らみは無視しろというには難しいものだった。
背後で様子を覗うなのは達も気になってはいるのだが、邪魔しては悪いと思い、視線を送るだけで静かにラディを見守っていた。
?ラディ〜、そろそろ動きません? 多分アレ、こっちから動いてやらないことには何もしませんよー?
何もしない敵を観察するのに飽きたセラフィムが、気の抜けた様な声でラディを急かした。
それにラディはしばらくなにも言わずに黙って眼下のスライム群を観察していたが、彼も同じ結論に至ったのだろう。溜息を吐きながら頷く。
「できれば仕掛ける前に情報を集めときたかったが……まぁ仕方ないか」
?そもそもラディの役割って要は威力偵察じゃないですか。黙って見てるだけで敵のこと分かるならそもそも必要ないでしょう?
「“オレとお前の”、役割だ。勝手に他人事にするな」
?へーい?
完全に他人事のようなセリフを吐くセラフィムにラディが片眉を上げ、二人の役割であることを強調する。
しかしセラフィム自身にはそれほどやる気がないらしく、欠伸でもしそうな声で返事を返す。
それにラディはまた何か言おうと口を開くが、埒があかないと思ったのだろう。苦言の代わりに開いた口から溜息を吐き出した。
「じゃあま、動くとするか。とりあえずこのままじゃあまりよくないし、バリアジャケットの展開を頼む」
?バリアジャケットだけでいいんですか??
「ああ。武器の方は後でいい。持ってるの疲れるしな」
バリアジャケットだけでいいと言ったラディに、後ろから様子を覗っていたなのは達は目を見開く。
これから仕掛けるというのに
武器
(
デバイス
)
はまだ使わないというのだから当然だろう。
一体彼は、これから何をする気だ?
まさか武器もなしに素手で飛び込む気か――否、流石にそれはないだろう。
なら魔法か。
だが彼の術式は近代ベルカ式。武器などに魔力を付与して強化し、武器の間合いで戦うのが基本の近代ベルカ式で、武器を出さずに魔法だけ使うというのは妙な話だ。
彼の考えていることが、まったく分からない。
そうしてなのは達が悩んでいる間にラディのバリアジャケットへの換装が終わり、光の中からそ
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