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魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第7話 彼の来た理由―前編
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人の戦い方に合わせて動くと言っている。
 みなさんは自分の動きを知らないから見ていてください。自分はみなさんの戦い方知らないけど、がんばって合わせますでは筋が通らない。

 だからこその反対?―なのだが、ラディは不敵な笑みを浮かべて口を開いた。

「知ってますよ、みなさんの戦い方」
「え……?」

 目を見開くフェイトにラディは楽しそうに話し始めた。

「言ったでしょう、オレはスパイだって。スパイなら敵地に飛ぶ前に敵の情報は頭に入れてますよ。みなさんの戦闘スタイルは既に頭の中に叩き込んでいます。本部の奴らと違って文字としての情報だけじゃなく動画などの視覚的な情報も含めて頭に入れてきてます」

 別段誇ることも恥じることもなく当然だと言わんばかりに話すラディに全員の顔に引き攣った笑みが浮かぶ。
 この調子だとおそらく、戦闘に関するものだけではなく個人情報も頭に叩き込まれているだろう。
 正直、彼にその辺りをみっちり尋問したいところではあるが、今はそれどころではない。こちらの様子を窺うように視線を送るラディに対して一度頷いて見せる。

「では、自分が先陣を務めさせていただきます」
「初っ端からミスして墜ちるんじゃねぇぞ」
「そうなりそうなときは見捨てないでくださいよ〜」

 満足そうに宣言するラディにヴィータが悪戯っぽく笑いながら軽口を叩く。
 それにラディは肩を竦めながらフォローを頼むが、その顔には不安など一切ない。
 あるのは自身への確かな信頼――自信。
 まるでフォローできるものならしてみろと言わんばかりのその表情に、ヴィータは気に入らなそうに顔を(しか)めた。
 そのやり取りに呆れて苦笑を漏らしながらも、はやては作戦会議を続ける。
 先陣は決まった。
 ポジションはラディの戦いを見てから決めるとして、次は誰がロストロギアを封印するかだ。

「ほな、会議を続けようか」

 全員の注意をラディから作戦会議に戻しつつ、会議を再開する。
 それぞれからの意見が飛び交う中、しかしはやての頭にあるのは、会議の内容よりもこれからへの期待だった。

 もしかすると、もしかするとだが。
 彼――ラディオン・メイフィルスの戦いを見れば、その魔法をしれば、彼が六課(ここ)にきた理由が分かるのではないか、と。

(あかんな……)

 先のことばかりを気にして、目の前のことがおろそかになっている自分をはやては叱る。
 まずは目の前のこのロストロギアの回収だ。
 これから先のことは、あとで時間ができたときにでも考えればいい。
 さっきシグナムに言ったばかりではないか。いま考えても仕方がないと。

 緩んだ気を引き締め直し、はやては作戦会議に意識を向け、論議の輪に加わっていった。


○●○
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