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魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第7話 彼の来た理由―前編
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 ――否、全ての凶弾が身体を引き裂くことは叶わなかった。
 ラディが握り砕いた部分から最も遠かったがために原型を残した底と飲み口の部分?―内、魔力付与されなかった底の部分だけは、スライムの身体を貫くことはできず、その表面を凹ませるだけで弾かれ地へと落とされた。

 だが当の本人にとってそれは予想の範囲内だったらしい。
 彼の口元が一瞬だけ不敵に吊り上がり、そして、次の瞬間?―彼は吠えた。

「エリオ!!」
「っ!? は、はいっ!!」

 突如として名前を呼ばれて驚き、舌をもつれさせながらもなんとかエリオは返事を返す。
 そんなエリオにラディは振り返らず眼前の敵に視線を合わせたまま再び吠えた。

「奴らには斬撃が効く。お前がFW陣の攻撃手(アタッカー)だ。積極的に前に出てヤツらを狩れ!!」
「っ!! はい!!」

 ラディからの指示に顔を引き締めてストラーダを握る手に力を籠め、エリオは返事を返す。

「スバル!! ヤツらには打撃は効果が薄い。エリオのフォローに回りつつ敵を封じ込めろ!!」
「はいっ!!」

 気合十分とばかりに己の拳とマッハキャリバーを打ち付けながら、スバルは返事を返す。

「ティアナ!! ヤツらには斬撃の他にも魔力による攻撃も有効だ。前衛が処理しきれないヤツはお前が潰せ!!」
「はいっ!!」

 緊張した面持ちで手の中のクロスミラージュの感触を確かめるようにグリップを握りしめ、ティアナは返事を返す。

「キャロ!! エリオに重点的に支援魔法を掛けつつ敵の足を止めろ。選択肢はお前が一番多い。ゆっくりでいい、冷静に自分のやるべきことを見定めろ!!」
「はい!!」

 口を引き結び眉根を寄せながら、キャロは返事を返す。
 4人からの返事を受け取り、ラディは一度だけ顔だけを背後に向けて頷き、微かに笑みを浮かべてみせる。

 ――大丈夫だ。お前達ならやれる。

 自分達への励まし、そして信頼を受け取ったFW達の体から、無駄な緊張が抜けていく。
 それを確認したラディは再び顔を眼下の敵へと戻した。

 隊長達への指示はない。 
 だがそれに対して何かを言う者は誰一人としていなかった。
 ラディが彼女たちに向けて言外に言っていることが明らかだったからだ。

 ――あんた達なら、何も言わなくても分かるだろう?

 当然だと言わんばかりに隊長達はそれぞれ口元に微かな笑みを浮かべ、自身の戦友(デバイス)を握る手に力を籠める。 

 ラディの身体から魔力が溢れだす。
 色は白青。目を焼く程に鮮やかで、しかし触れれば砕けしまいそうな儚さを内包する不思議な色。
 輝く魔力はラディの足元に集い、正三角形の中心に剣十字を戴く、近代ベルカ式の魔法陣を形作る。
 胎動し解放される
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