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魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第7話 彼の来た理由―前編
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ものでもない。
 ラディ陸曹はどんな魔法を使ってエリオを癒したのやら……はやてには、それが疑問だった。

 そんなはやての疑念を違う方向に解釈したのか、シグナムはどこか腑に落ちないといった表情で言葉を続けた。

「メイフィルス陸曹は、なんと言いますか、確かに謎の多い人物ですね」
「謎?」

 シグナムの使った謎という言葉にはやては考えるのを中断し、顔を上げる。
 
「はい。スパイにしてはやけに友好的でこちらの任務に協力的。仕事の話よりもただの世間話のほうをしたがり、こちらのことを探ってくる様子が一切ない……そもそも、略式とはいえ最初の着任挨拶のときなど――」
「――自分で自分のことをスパイ宣言、やもんな〜」

 シグナムの最後の言葉を引き取り、はやては大きく溜息をつく。

 本当に、本当にはやてには、ラディオン・メイフィルスという人間が読めない。

 あんな強引な手法で捻じ込んできた人間がどんな人間かと身構えてみれば、来た人間は着任速攻身バレするわおしゃべりだわ親切だわで、スパイなどする気が毛頭ないとしか思えない。
 情報収集するなら話し手になるよりも聞き手に徹するはずなのにそれをせず、どころか話しかけるのは主にこれから部下になるエリオとキャロ、そしてスバルとティアナばかり。情報を集めようにも、まだ何も知らないあのFWメンバーからでは大した情報は得られないだろうに、矛先を変える様子はまったく見えない。
 一方工作するにしても、隊員の多くが慣れない土地での慣れない任務という絶好の機会を達人技ともいえるほどのスルースキルでもって無視している――どころか、彼の新しく部下になるエリオとキャロを積極的にフォローし、つつがなく任務が達成できるように協力してくる始末である。

 はやてとしては、この出張任務で送られてきたスパイの化けの皮をはがして真意を掴み、これからの対策を練ろうとしていたのだが、完全に空振りである。

 まぁそれもこれも、彼が自分でスパイ宣言したあたりで立てた計画はすべてご破算にはなっていたのだが……。

「というか、ラディ君もラディ君やけど、送り込んできた人も送り込んできた人や。なにを思ってラディ君に決めたんやろな〜ホント」
「まぁ……確かに」

 なかば自棄になりながらコーヒー牛乳を煽るはやてに、シグナムが心配そうな視線を向ける。
 家族に心配かけてアカン家主やなぁと思いつつ、はやてはもう一度コーヒー牛乳を豪快に煽り、飲み干した。 

「まぁ、分からんことばかりやし考えても仕方ないか」
「ですね」

 ほぅっと息を吐きながら投げやりに呟いたはやてにシグナムは頷いた。
 現状、ラディの狙いも、そしてラディを送り込んできた人間の狙いも分からない。
 分かっているのは彼がスパイというこ
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